熊本県議会 本会議で城下広作の会議録

2.半導体製造企業(TSMC)の本県誘致について

(1)用地確保について
(2)地下水の利用について
(3)人材確保・育成について
(4)立地協定について

◆(城下広作君) 知事の総括では、知事は、ある程度対応ができたということでございます。私も、県としてはおおむね対応がよかったのではないかと評価をしたいと思います。
 ただ、2番目の質問の部分で、ワクチンの有効利用とか、その廃棄の問題ですけれども、これは具体的な数は全然分からないということです。統計も取らないということでございます。この辺が実際にどうだったのかというのは、ちょっと気になるところでございます。
 それと、児童相談所に預けたのが4件ということですけれども、まだまだ実際には、私の感覚としては、多いのかなという感じがしました。結局、説得をされて、自宅でやむなく見た方もおられるんじゃないかということのような感じがいたします。
 それと、県では、原則的には、感染しますと療養施設ということですけれども、中にはそのことを断られてやむなく自宅で待機している人が多いような気がしたんですけれども、そういうのがないというのが感覚的に私もちょっと違うのかなという感じがしますけれども、いずれにしましても、そういう対応をするということで、仮に第6波が来たら、少なくとも陽性になりましたら、我々は、最低でも宿泊療養施設、こういうところである意味では診てもらうという体制がしっかり確立されればいいかなというふうに思います。
 それでは、第2点でございます。
 半導体製造企業、TSMCの本県誘致について質問させていただきます。
 このTSMCの菊陽町誘致に関する質問は、午前中の髙木議員も質問で取り上げられました。詳細な内容は後日議事録を見なければ分かりませんが、大まかに、TSMCの本県誘致に対して県の対応、そしてそれに付随して、周辺道路の整備のことが中心ではなかったかというふうに思います。
 私も、このTSMCの本県進出に関しては非常に関心があり、本県誘致のうわさが流れ始めた4月頃には、執行部に状況を尋ねたり、6月の経済常任委員会においても進捗状況を尋ねたりしましたが、当時は、この問題は国主導で行われており、県には情報が全くなく、よく分からないとの返答でありました。
 そうした中、11月9日、TSMCが日本に半導体の新工場を建設すると正式に発表しました。
 私は、この報道に大変感動し、本県の今後の経済活動に多大なプラス効果をもたらすと確信しました。
 しかしながら、私は、そもそも半導体についてあまり詳しくなく、また、これまでTSMCのこともほとんど知りませんでした。どちらかといえば、フライング的に喜びが先行した感じでした。それから、半導体のことについて詳しい知人に尋ねたり、半導体について書かれた本を読むことで、わずかではありますが、イメージが湧くようになりました。
 そこで、私が読んだ本の中で、半導体誘致に関連し、その対応と課題について述べてありましたので、本県に照らし合わせてお尋ねをします。
 まず、半導体製造には、大きく分類すると前工程と後工程に分かれること、製造に当たっては、精密なクリーンルームが必要となり、薬液として硫酸、フッ素、塩酸など、また、ガスの供給として窒素、酸素、水素などが必要となり、それらを保管する貯蔵庫の確保が必要となります。
 また、製造過程において最も重要なのが、大量の超純水、地下水を必要とし、その処理水を浄化する設備や安定した電源確保、そして作業に従事する優れた人材確保が絶対に欠かせないと記してありました。
 そして、最後に、必須条件として、地元との立地協定の重要性を訴えてありました。
 そこで、TSMCの本県誘致に際し、今後どのような対応をされるのか、4点お尋ねいたします。
 まず第1点目ですが、用地確保についてお尋ねします。
 大型の半導体工場が建設されますと、一般的に、その機能を補うために様々な関連企業が集積します。例えば、材料関係の企業、それに関連する倉庫、また、先ほど述べた薬液やガスの貯蔵庫など、また、人的な関係では、今回の誘致で雇用が約1,500名見込まれるという話もありますが、その一部の方は、周辺に居住を希望される方も出てくると思います。
 このように、TSMCの誘致に関しては、相当な用地を必要とすると予想されますが、2年後の製造開始に向け、周辺の整備は大丈夫なのか心配します。しかも、誘致先のセミコンテクノパーク周辺は、市街化調整区域で用地取得はなかなか難しいと思われます。
 そこで、県も、菊池テクノパークやくまもと臨空テクノパークなど工業団地を持っていますが、今回の誘致で活用の動きはあったのでしょうか。また、今後の用地取得に関する対応についてはどのように考えているのか、お尋ねします。
 次に、2点目ですが、地下水の利用についてお尋ねします。
 半導体の製造に当たっては、とにかく純水が必要とされることはよく知られています。今回の誘致に関して、新たにどれだけの純水を必要とされるのか、執行部に尋ねたら、生産規模の情報漏えいにも関わるので、通常、使用量は公表されないとの返答がありました。ただ、半導体企業が大量の純水を利用するのは一般的に知られていることです。そのことを承知で誘致を受け入れることは覚悟しなければならないことではないでしょうか。
 来年は、熊本市で世界水サミットが行われます。水の大事さを世界に発信するイベントです。地下水の利用について、県の考え方をお尋ねします。
 次に、3点目ですが、人材確保についてお尋ねします。
 半導体製造に関しては、やはり人材確保が欠かせないと言われています。ましてや、世界最大手の半導体企業ですので、製造する技術も相当な技術を要すると聞いています。そのような人材を僅かな歳月で確保しようとすれば、大変苦心されるのではないかと想像します。
 蒲島知事も、地元の大学と連携し、人材育成を図ると過日言われていましたが、私の知人からは、人材育成といっても、机上で学ぶことは限界がある、それを補う機械等の確保は高額で、教育機関では簡単に入手できないのだろうと言われていました。やはり、現場で作業しながら身につけることが一番重要とも言われていました。
 また、人材確保について、半導体に関わる経営者からは、今回の誘致により、一部従業員が引き抜かれたり、転職するのではないかとの不安の声も聞きました。仮に、このようなことがあちらこちらで起これば、既存の関連企業に混乱が生じる可能性があります。
 今後の人材確保、また、人材育成について、県の考え方をお尋ねします。
 次に、4点目ですが、立地協定についてお尋ねします。
 企業誘致が決定した場合、基本的には、立地協定は誘致企業とそれを受け入れる自治体との間で交わされ、県が立会人として協定を結ぶと理解しています。今回は、TSMCとソニーとの合同会社と菊陽町になりますが、それに県が立ち会うという立場ですが、私が読んだ本には、協定書の重要性が書かれてありました。
 企業側にとっては、地元自治体の協力的なサポート、地元自治体は、建設や雇用に関する地元に対する最大の配慮などを協定書で明記され、実行されることが最も重要だからであります。
 こうした重要な協定書の内容について、県はどのような関わりを持とうとされているのか、お尋ねをいたします。
 以上4点、今回の誘致決定を受け、半導体産業強化推進プロジェクトチームのトップである三輪商工労働部長にお尋ねをいたします。
  〔商工労働部長三輪孝之君登壇〕