熊本県議会 本会議で城下広作の会議録

1.令和2年7月豪雨への対応について

(1)球磨川流域における雨量の検証と治水対策について
(2)県下一級河川の今後の治水対策について
(3)避難勧告等の発令、ハザードマップの活用及び通信機能の強化策について
(4)住まいの確保と住民移転について
(5)山腹崩壊を防ぐ森林整備等と太陽光パネル施設の管理について


◆(城下広作君) この避難勧告でございますけれども、やはりしっかりと、これを大事な自分のものとして捉えていくと。しょっちゅうとなると、もう安心し切って、まだ大丈夫だろう、大丈夫だろうというのが、結果的に命を落とすような形にもつながる可能性があるということで、しっかりと県は市町村と連携しながら、例えば、この間の台風のときも、みんな避難指示が出ているけれども、ある市町村だけ全然出てないところがあったと、かなりこれは認識のずれがあって、そういうときには整合性があるのかなということで、そのときにやっぱり県の役割として、各市町村に、それが今出てない場合、周りが出ていて出てない場合には、なぜなのかと確認しながら、そしてその認識を問いただしていくということは大事だなというふうに思います。
 それと、九州防災拠点、全くこれは東南海での想定としてつくってあるんですけれども、自分の県であったときに、果たしてそれが何かプラスになるのかなと確認しましたら、いろんな意味でいろいろプラスになっているということを聞いて、防災拠点ということの部分で、非常にこれは大事なことだなと新たにしました。
 それと、ハザードマップですけれども、作ればいいというものではなくて、これが生かされるということで、作ったら安心して住民は理解するだろうと、なかなかそれを理解してない、だから結果的にこれは絵に描いた餅になるというケースが大いにあります。
 特に、国がL2というのは、1,000年に1度の想定という分です。まさかここまで来ないだろうというのがL2だから、なかなかなじみがないし、これを作っていない市町村がたくさんまだありますよという答弁でありました。
 それは、国は作りなさいというふうに言っております。ですから、作ってないところは、しっかりとそういうことを作りながら、洪水の認識を高めるというような形が大事じゃないかなというふうに思います。
 では、次の質問に入りたいと思います。
 住まいの確保と住民移転についてでございます。
 地震、台風、豪雨災害等で家屋の倒壊や浸水に見舞われれば、住宅の再建や改修ができるまでは、避難所をはじめ、建設型仮設住宅や借り上げ型みなし仮設住宅、公営住宅、また、身内を含め、どこかに身を寄せなければなりません。
 今回の7月豪雨では、県南を中心に7市町村で、全壊1,469世帯、大規模半壊2,791世帯、床上浸水1,631世帯が被害に遭い、当面もしくは長期にわたり住まいの確保が求められます。先ほどの数字は、9月9日現在でございます。
 このような状況を受け、県は、8月19日、応急仮設住宅の必要数を最大2,000戸とすると発表しました。既に、ムービングハウス等を設置し、住まいの提供がなされているところもありますが、ほとんどはこの秋に完成予定で、とにかく被災者の状況を考慮すれば、一日も早い住まいの確保が求められているのは確かです。
 そこで、第1点目にお尋ねしますが、特に住まいの確保となれば、建設型住宅の役割が大きくなりますが、この最大の障害となるのが場所の選定であり、用地の確保であります。
 これを、災害が発生してから準備に取りかかりますと、人手の確保、場所の選定、用地交渉と、ハードルは高くなり、場所によっては、必要とみなされる住宅の確保が難しくなることも起きてきます。これらは、過去の災害や熊本地震の経験で学んできたことでもあります。
 そこで、この問題を解決するため、各自治体は、平時より災害を想定し、災害時用の住宅用地確保や空き家の状況等を把握していると思いますが、今回の被災地での状況、具体的には、建設型仮設住宅の建設に当たり、事前に用地が確保してあった割合と災害後に用地を確保した割合はどうだったのか、また、県としては、用地の事前確保についてはどのように考えておられるのか、お尋ねします。
 また、近年、空き家の有効活用が叫ばれ、各自治体も、日頃より空き家の調査に力を入れていると思います。今回の災害で、空き家も相当被害を受けたと聞いていますが、被害を受けていない空き家は、住宅確保の大事な候補となります。
 そこで、今回の災害で、空き家の活用状況についてはどうだったのか、また、今後の災害発生時における空き家の利活用について、県の考えを渡辺健康福祉部長にお尋ねします。
 次に、住民移転についてお尋ねします。
 私は、人吉・球磨地方または八代地域の山間部の歴史や文化を熟知しているわけではありません。その地域ごとの関わり、町並みが形成された歴史、幾つもの沢に点在する住宅、その一つ一つに歴史があり、人々のつながりや生活があったものと理解しています。
 今回の7月豪雨に関連する報道の中で、特に印象に残った記事があります。それは、地元住民への取材時の言葉で、水害は怖いが、球磨川は怖くないし、球磨川は悪くないとのくだりでした。この言葉は、その地域に住んでいる人しか使えない、意味深い言葉と感じました。
 そこでお尋ねしますが、今回の水害は、過去の水害と比べても比較にならない被害をもたらしました。仮に、ダムやダムによらない治水対策が施されても、正確なことは言えませんが、何かしらの被害はあったと思います。
 また、昨今の異常気象からすると、今回以上の豪雨に見舞われることもあり得る中で、例えば、ある地域では、将来のことを考え、今の場所を離れて、より安全な場所へ移動を考えておられる方もおられるのではないかと想像します。
 私は、かつて自分の故郷である旧牛深市で、大島という離島の集団移転を取り上げたことがあります。やはり移転のきっかけとなったのは、度重なる災害、また、電気や水道、嵐の場合の交通手段など、インフラ整備の問題があったと聞いています。
 そこでお尋ねしますが、今現在、住民移転に関する声や相談が県や市町村に届いているのでしょうか、また、県としては、今回被災した地域における住民移転についてはどのような御見解をお持ちか、水谷球磨川流域復興担当理事にお尋ねをいたします。
  〔健康福祉部長渡辺克淑君登壇〕