熊本県議会 本会議で城下広作の会議録

1.令和2年7月豪雨への対応について

(1)球磨川流域における雨量の検証と治水対策について
(2)県下一級河川の今後の治水対策について
(3)避難勧告等の発令、ハザードマップの活用及び通信機能の強化策について
(4)住まいの確保と住民移転について
(5)山腹崩壊を防ぐ森林整備等と太陽光パネル施設の管理について


◆(城下広作君) 知事の答弁がありました。
 やはり我々が、今後、川辺川ダムといいますか、いろんなことを知事サイドが検証するに当たっては、やはり誰もが納得するようなデータが全て開示されて、そしてそれを基に、やはりこれはダムが必要である、じゃあこれはダムによらない治水が必要であるということを、双方の考え方がある中で、いろいろとしっかりとした論議ができるためにも、ぜひ検証委員会では、大事なデータの開示を県からもしっかり訴えていくことが大事だというふうに思っております。
 例えば、今の川辺川ダムの計画は、計画流量が7,000トン、しかし今回は8,000トンの、まあ学者でいえば8,500とか言われますけれども、それだけの流量があったと。そうしますと、そもそもその数字自体をまた見直すのかということも、今後考えられるか知りませんけれども、仮にこの数字がずっと上がっていきますと、実際にやることとして、橋の高さも変わる、道路の高さも変わると、これは簡単にまたできるのかなということもちょっと私はそういうふうに思いますし、いずれにしましても、安全度というのをどこに求めるのかということも、しっかり論議の中で検証できればというふうに思っております。
 そして、今回は球磨川でしたけれども、それ以外の1級河川でも同じようなことが起こるということを考えたときには、そのほかの河川もしっかりと同時に対策を考えていただくということは、県全体として大事なことだと思いますので、ぜひよろしくお願いをしたいというふうに思います。
 いずれにしましても、我が党としても、この問題は、この何か月間、大変大事な、ある意味では論議をしながら結論を出していきたい、やっぱり基本は、生命と財産を守るということをするためにはどうあればいいのかということを基軸として考えていきたいというふうに思っております。
 では、次の質問でございますけれども、この河川の洪水に対して、では命をまず守るということに対しては、じゃあどういうことがあるかということで、その角度からちょっと述べさせていただきたいと思います。
 避難勧告等の発令、ハザードマップの活用及び通信機能の強化についてでございます。
 県の発表によると、今回の豪雨では、65名の方が亡くなり、2人の方は現在も行方不明であります。この数は、熊本地震のときの直接死50人を超え、今回の被害の大きさがうかがえます。
 また、亡くなられた65名のうち、85%に当たる55名の方は、65歳以上の高齢者でありました。この中には、自力で避難できない、いわゆる要支援者以外も多く含まれており、決して避難ができなかったわけではなく、避難誘導の難しさが浮き彫りになったとも言えます。
 一般的に、避難を決断する目安としては、やはりテレビやラジオ等で流れる気象庁の予報や市町村が出す避難情報を参考にすると思いますが、この情報に機敏に反応する方がおられる一方、高齢や肢体不自由、聴覚、視覚が不自由な方で、すぐには対応できない方々もおられます。また、健常者でも、日頃から災害情報にあまり興味を示さない方もおられるかもしれません。
 こうした状況を踏まえ、命を守る行動を取っていただくために、避難誘導の在り方を改めて検証する必要があるのではないかと考えます。
 まず、第1点目の質問ですが、災害対策基本法においては、避難勧告等を発令する権限は市町村長に付与されています。
 私は、県下の防災情報をつかむために、県の防災情報メールを利用しています。そのおかげで、各市町村から警報が発令されるたびに呼出し音が鳴り、どの地域で何が発令されたかを知ることができ、大変参考になります。
 ただ、疑問に思うことは、発令される自治体の順番にあります。例えば、今回の被害があった球磨川流域での市町村の洪水警報の発令で考えてみますと、上流に降った雨は下流に流れ込みます。そうなれば、上流のどの地域で大雨が発生し、中流部のどの地域から水かさが増し、その結果、下流部で氾濫の危険性が高まり、洪水警報の発令へつながると理解しています。
 そこで、お尋ねします。
 避難勧告等の発令は市町村長の権限ですが、災害対策基本法では、都道府県は、広域的な地方公共団体として、自ら防災に関する対策を実施するのみならず、市町村の事務又は業務の実施を助け、かつ、その総合調整を行う責務を有しているとあります。
 そこで、今回の7月豪雨災害において、県は、市町村が出した避難勧告等の発令については、連携は取れていたのか、お尋ねします。
 また、国は、南海トラフ地震発生時の大規模な広域防災拠点として熊本空港を選定するとともに、九州地方における政府現地対策本部候補施設として最も適しているのは熊本合同庁舎B棟としています。
 本県も、九州広域防災拠点構想を打ち出し、県境を越える広域的な災害に備えて、防災拠点の整備に取り組んでいますが、今回のように県内で起きた災害については、それらの施設は、どのような位置づけで、どのような役割を果たしたのか、また、大規模な広域防災拠点として選定されているメリットについてお尋ねします。
 次に、第2点目の質問ですが、大雨や台風など災害の発生が予想される場合には、自治体は、住民に対して、ハザードマップを参考にしてください、避難所等に避難してくださいと呼びかけられます。このハザードマップ、場所や地形に詳しい方には大変参考になるのですが、高齢者や地図そのものに苦手な方には、あまり機能しないと思います。
 例えば、洪水が発生した場合、決められた避難所に行こうとしても、当日の浸水状況次第では通行できないこともあります。いわゆる地図上と現場は、災害時において、何が起こってもおかしくないということです。
 大事なことは、ハザードマップを目安として、災害の種類により、どのタイミングで、どこに避難すればよいのか、自分自身で理解し、素早い行動を取ることだと思います。それを手助けするのが国や市町村が作ったハザードマップなのですが、果たしてどのくらい住民に理解されているか、疑問に思います。
 例えば、今回の人吉市での豪雨被害、国が示す想定最大規模、L2での浸水高は、青井阿蘇神社辺りでは5メーターから10メーターと予想されていました。仮に、今回の場合、いつ、どこで、どのくらいの雨が降ると、国が示す高さに青井阿蘇神社付近がなると理解していれば、住民誰もが避難することをためらわなかったと思います。
 そこでお尋ねしますが、災害に関する情報は、国、県、市町村と、それぞれの管理下において情報を持っていると思いますが、こうした情報は、今回、共有され、有効に機能したのでしょうか、また、市町村が作るハザードマップについて、県の関わりはどのようになっているのか、お尋ねします。
 次に、第3点の質問ですが、県と市町村を結ぶ通信機能についてお尋ねします。
 今回の豪雨災害では、球磨地域振興局管内全域で通信障害が発生しました。原因は、八代―人吉間の通信幹線が別ルートで2重化されていましたが、その2ルートとも被災したことであり、その結果、固定電話、ファクス、インターネット等が3日間ほど使えない状況になりました。
 言うまでもなく、被災直後は、安否の確認、被災状況の把握などでなくてはならないのが通信機能であります。取りあえず、障害発生時は、防災行政無線、衛星携帯電話、一部携帯電話などで対応されましたが、不自由はあったと聞いています。
 そこで、今後の通信機能についてお尋ねしますが、例えば、今回の八代―人吉間の通信回線、1つは山間部、もう一つは球磨川の橋梁に共架した有線回線でした。御承知のとおり、橋が数か所流されました。その一つの橋に大事な有線が共架されていたのです。もう一つの山間部にある有線も、いつ復旧に時間を要する被害に遭うか分からない状況だと聞いています。いずれにしましても、大変重要なインフラであり、何重もの備えが必要だと思います。
 そこで、球磨地域振興局管内はもとより、その他の県内地域振興局管内においても、民間の通信会社等と連携して通信機能の強化を図っていくべきと考えますが、今後の対応をお尋ねします。
 以上3点、白石知事公室長にお尋ねをいたします。
  〔知事公室長白石伸一君登壇〕