熊本県議会 本会議で城下広作の会議録

1.令和2年7月豪雨への対応について

(1)球磨川流域における雨量の検証と治水対策について
(2)県下一級河川の今後の治水対策について
(3)避難勧告等の発令、ハザードマップの活用及び通信機能の強化策について
(4)住まいの確保と住民移転について
(5)山腹崩壊を防ぐ森林整備等と太陽光パネル施設の管理について


◆(城下広作君) 改めまして、おはようございます。公明党の城下広作でございます。公明党の会派を代表して質問をさせていただきます。
 まず、質問に入る前に、7月の豪雨で亡くなられた方々に謹んでお悔やみを申し上げますとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。
 また、本日の質問の項目は、この7月豪雨の検証、この角度と、そしてコロナ禍においての今後の取組、さらにいろんな形で頑張らなきゃいけないんじゃないかということで、これを中心に質問させていただきたいと思います。そして、知事の4か年戦略、このこともまた触れさせていただきたいと思います。
 今日は、知事の横の席を見てみますと、ちょうど田嶋副知事の横に空席がありまして、ソーシャルディスタンスかというふうに思っていたんですけれども、いろいろ訳があって空席になり、ここが空席だと隙間風が吹くものですから、早く埋まったほうがいいなというふうに思っていますけれども、まあ埋まる予定ということは報道でいろいろ聞いておりますので、しっかり新たな体制で、また蒲島県政頑張っていただきたいというふうに思います。
 また、今日は、代表質問だと知事の答弁というのが基本的には主流になるんですけれども、より多くの執行部の皆さんにも答えていただきたいということで、数名の部長さんにも答弁をしていただきます。ちょうど連休のこの4日間、大変天候にも恵まれて、ある意味では秋空の健やかな日でございました。今日もそういう分でございますけれども、ぜひ答弁もすがすがしい答弁で、私が今日は満足して終われるように、よろしくお願いをしたいと思います。
 では、もう時間もだんだんなくなってきますので、早めに質問に移りたいと思います。
 まず、第1点目でございますけれども、球磨川流域における雨量の検証と治水対策について、そして県下1級河川の今後の治水対策についてお伺いをしたいと思います。
 本年7月の豪雨は、過去に球磨川で起きた氾濫とは比べものにならない規模でした。昭和40年7月に球磨川を襲った洪水を当時の映像や写真で拝見しましたが、ただただ驚くばかりで、川が暴れると本当に怖いと心底おびえ、自然の怖さを改めて痛感していました。
 その球磨川がまた氾濫したと聞き、同僚議員と、氾濫翌日の7月5日、人吉市に現地視察に行きました。清流と霧が似合う人吉市内の風景は、私が知る城下町ではありませんでした。こんなところまで水が、1階の屋根に水草が絡まる様子を見て、これが現実であることを疑うばかりでありました。
 雨がやみ、球磨川の水が引き始めた頃、大粒の汗をかきながら、変わり果てた我が家の泥かきに一心不乱に取り組む方々の姿を拝見したとき、政治の力で一日も早い復興を手助けしなければと決意しました。
 その後、何回か人吉市をはじめ流域の市町村を訪ねますと、被災者との会話から、ここまで水が来るとは思わなかった、流れが速くて、逃げるのが遅かったら命がなかったかもと、生々しい話とともに、ダムがあったらここまで水は来なかっただろうと悔しさをにじませる方、ダムがあってもここまで水が来るとどうしようもなかっただろうと諦め顔でつぶやく方など、悲喜こもごもでした。
 先週の代表質問で、自由民主党の松田議員、くまもと民主連合の鎌田議員がそれぞれ川辺川ダム問題に触れられました。特に松田議員は、球磨川流域の住民でもあり、地元の声を反映しての意見だったとも理解しています。
 私は、このダム問題は、今後の球磨川流域市町村のまちづくりや生活に大きく関わる重要な問題だと認識しています。
 例えば、今回の洪水で、球磨川に架かる橋が10橋破損、落下しました。いずれの橋も、住民にとってはなくてはならない施設ですが、ありがたくも今回の復旧は国が直轄事業で行うことになり、財政面や技術面、それにスピードの面で大変安心感が得られます。
 ただ、問題は、この橋の復旧方法で、災害復旧の原則である原形復旧で進められるのか、それとも球磨川の計画流量など根本的な見直しを行い、策定する新計画の下で復旧するのか、大変気になります。仮に、新計画に基づき復旧するとすれば、橋や堤防の高さから設計し直す必要が生じ、復旧が遅れてしまう可能性があります。
 そこで、今後重要になるのが、8月25日に第1回が開催された球磨川流域の災害対応の検証を行う球磨川豪雨検証委員会の行方です。その中では、ぜひ科学的根拠に基づいた、誰もがその内容を理解、納得できるようなデータを示していただき、それに基づき、球磨川流域の今後の治水対策が決まることを望みます。
 そこで、第1点目の質問ですが、私は、第1回の検証委員会の論議を聞く中で、分かりにくい点がありました。例えば、ダムの有無による流量の違いについて、人吉地点でのピーク流量が毎秒8,000トンであったが、川辺川ダムがあれば4,700トンまで軽減できたと説明がありました。しかし、専門知識のない一般市民は、流量で示されても状況がイメージできません。例えば、球磨川流域の各地点での水位の差を示していただくほうが、誰にでも分かりやすく、今後の治水対策を自分のこととして考える際の判断材料になると思います。
 そこで、次回以降の検証委員会において、県は、これまで私が述べた視点も含め、どのようなデータを国に求めていくのか、お尋ねします。
 また、今回の水害は、人吉地点でのピーク流量が昭和40年の1.5倍に及んだと言われていますが、最近、国は、L2、洪水浸水想定区域、1,000分の1の作成を地方自治体に呼びかけています。今回の洪水は、L2までには及んでいません。国は、温暖化などの影響で異常気象がないとは言い切れず、L2の作成をお願いしていると思いますが、今後の論議の中で、どのようにして安全基準を定め、それに基づく治水対策を求めるのか、県としての立場をお示しいただければと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、第2点目の質問ですが、7月の豪雨は、特に球磨川流域を中心に発生しました。仮に、この豪雨が県下のほかの1級河川、緑川、白川、菊池川において発生していたら、どのような状況になっていたのか、大変気になります。
 この問題については、本年9月の熊本市議会で、我が党の藤永議員が、白川における想定について質問しました。その結果、白川では、0.5メートル以上の浸水が熊本市内96校区のうち48校区あると答弁がありました。熊本市内の半分の校区が浸水することになります。
 そこで、そのほかの県内1級河川における想定について、県としてはどのように認識しているのか、また、1級河川は国管理とは承知しておりますが、今後の治水対策についてどのように対処していくお考えなのか。
 以上2点、蒲島知事にお尋ねをいたします。
  〔知事蒲島郁夫君登壇〕