熊本県議会 本会議で城下広作の会議録

6.国土強靱化の推進について

(1)避難情報のあり方
(2)災害時における空き家等の活用
(3)スマートフォン等による情報提供


◆(城下広作君) 33年前のこの県議会で、東バイパスが着々とできつつある中で、既にそのときから、今の東バイパスは渋滞する、だから高架化をやるんだというのがこの議場で論議がありました。そして、33年たって、まだ形が変わっておりません。6車線化にはなりましたけれども。そのときは、ほとんどの論議は、この熊本県議会でございました。
 ただ、今は、33年たって、主体が今度は熊本市になります。だから、熊本市になったからといって県が引いてしまうと、これはまたなかなか難しくなる。県も、しっかり国と市と連携をしながら、この実現に向けて頑張っていただきたいというふうに思います。
 それでは、今からは、知事の答弁が終わりまして、部長でございます。皿を割っていただくような答弁を期待したいと思いますので、よろしくお願いします。
 国土強靱化の推進についてでございます。
 ことしも、猛暑が続き、大変な夏でした。また、突発的な集中豪雨、大型の台風の発生など、生命を脅かす自然の猛威はとまることを知らないようです。それに加え、地震や火山の噴火など、予期せぬ自然災害も日本全土で起こり続けています。
 熊本地震を経験した多くの県民は、あの苦しい経験を忘れず、災害予防に対する高い意識を持続していかなければと思います。
 この9月は、防災月間でもあります。防災に関する取り組みが県下各地で行われると思いますが、備えあれば憂いなし、災害は忘れたころにやってくるの言葉を教訓に、より多くの方が参加する防災訓練であればと期待します。
 今、国及び地方公共団体は、あらゆる災害を想定し、それぞれが国土強靱化計画などを策定し、災害による被害の最小化に努めています。
 本県でも、国の支援もあり、国土強靱化対策として3カ年計画を立て、インフラ整備を中心に進めており、来年度で終了する予定ですが、大変重要な取り組みであり、取り組まれた事業は、全て被害の最小化につながると確信しています。
 今回の質問は、インフラ事業ではなく、ソフト対策事業の観点から、国土強靱化対策の取り組みについて質問をします。
 まず、第1点目の質問ですが、ことし5月末から運用がなされた防災気象情報、大雨・洪水警報レベルの5段階区分での情報伝達のあり方についてですが、この運用に当たる背景には、国が、国民に、みずからの命はみずからが守る意識を持ってもらい、行政は、その行動を全力で支援するとの方針があります。
 早速、運用開始から、テレビ等で、この区分のもと、情報が発表されました。私は、県下市町村の防災メールを登録していますので、広範囲の市町村に気象警報等が発令されますと、メールの着信音が鳴りやまない状況になります。しかし、その都度緊張し、情報収集に努めています。
 問題は、この5段階区分の3以上で出されたものについて、発令の捉え方に個人差が大きく、わかりにくいのではないかという点です。
 例えば、レベル3の場合、気象庁の情報で、大雨・洪水警報、氾濫警戒情報が出された場合、市町村の対応では、避難準備・高齢者等避難開始が出され、住民がとるべき行動は、高齢者等の避難となります。また、レベル4では、気象庁の情報で、土砂災害警戒情報、氾濫危険情報が出された場合、市町村の対応としては、避難勧告、避難指示が出され、住民がとるべき行動は、全員の速やかな避難となります。
 去る6月29日、県下は大雨になり、新しい防災気象情報のもと、レベル4が出されました。発令対象がピークとなった日時は、7月3日午後6時で、14市町村で、12万594世帯、28万1,143人に避難勧告が出されました。
 しかし、このとき、実際に指定避難所に避難された方は、県下全域で、1,868世帯、2,798人でした。大体数字からすると1%前後。この数字から見ますと、どれだけこの情報が浸透しているか、疑問に思います。
 さらに、こんな疑問もあります。大雨警報が出された場合、河川の近くや浸水のおそれがある場所にある指定避難所より、高層住宅や高台に住まわれている方は、逆に動かないほうがより安全だと思う方も多いと思います。また、避難勧告や避難指示が全世帯に出されても、指定避難所では一度には受け入れられない市町村があると聞いています。こうした市町村では、避難勧告や避難指示を出すことで問題が生じます。このような問題を今後どのように対処するか、大変気になります。
 そこで、新しい基準の防災気象情報については、ニュースや新聞、チラシ等で周知はされていますが、まだよく理解されていないような気がします。県としては、市町村と連携をとり、県民が適切に対処できるよう、防災気象情報の理解を高める取り組みを行うべきと思いますが、県民の5段階区分の理解度の認識と今後の対応についてお尋ねをします。
 次に、2点目の質問ですが、熊本地震のとき、多くの被災者が困った問題に、住まいの確保がありました。地震直後は、体育館などの避難所や野外テント、そして車中泊など、寝床を確保することに無我夢中でした。その後は、次第に仮設住宅やみなし仮設住宅などの手配がなされましたが、住宅を希望する全ての方に満足できる対応ができたかは課題があったと思います。
 この住宅問題は、大きな災害が発生するたび、日本全国どこでも起こり得ることでもあります。
 そこで、私は、以前から空き家対策を質問してきました。空き家には、Iターンや新規就農者などに貸し付けるいろんな活用の方法がありますが、市町村では、このようなニーズに応えるため、空き家バンクの名称で、貸し出しや売却の条件などの情報を管理しているところがあります。
 私は、この空き家を災害時に大いに活用すべきと考えています。そのためには、空き家の所有者に、事前に災害時の貸し出しの意思や貸し出す条件等を決めておき、いざ災害に見舞われたとき、いち早く活用できるようにしておくべきではないかと考えています。
 今回の熊本地震で、空き家がどれくらい活用されたかは承知していませんが、事前に対応しておけば、特に配慮が必要な障害者等がいる御家族など、避難所や車中泊では生活しづらい方々には、大変ありがたい住まいになります。
 また、このほかに、企業の社宅なども対象に考えられます。
 県として、空き家などの活用をどのように考えておられるか、お尋ねをします。
 次に、3点目の質問ですが、県民が災害の被害などを予見する一つのツールとして、各市町村が策定した洪水浸水想定図や土砂災害危険地域などを記したハザードマップなどがあります。
 しかし、一般の県民の方には、なかなかなじみが薄く、ハザードマップの意味するところも余り理解されておらず、いざ見ようとすれば、どこに保管してあるかわからないと言われる方も少なくないと思います。しかし、このハザードマップを熟知すれば、災害情報をもとに、適切な判断や行動がとれるようになります。
 そこで、提案です。
 先ほどの洪水浸水想定図や土砂災害危険地域などを記したハザードマップは、県のホームページで見られるようになっています。ただし、地図上に記されており、住宅の様子や地形の様子が読みにくい状況にあります。
 これをグーグルなどの写真図の上に重ねると、自分の居場所と状況がつかみやすくなり、そのほかにも、指定避難所などを写真図などにアップしておきますと、知らない地域で災害に遭っても、スマートフォン等で、いち早く指定避難所に向かうことができます。このような対応を、国土地理院では、一部で対応しています。(資料を示す)今画面に写っている分です。
 そこで、災害時における災害の予見に役に立つ地図情報のあり方について、どのように考えておられるのか、お尋ねをします。
 ついては、第1点目及び第3点目は知事公室長、第2点目は健康福祉部長にお尋ねをいたします。
 〔知事公室長白石伸一君登壇〕