熊本県議会 本会議で城下広作の会議録

4.所有者不明土地の問題について

(1)災害復旧における現状と対応
(2)所有者不明土地の増加防止

◆(城下広作君) 今全国では、防災士の資格を議員でも取られる方が大変多くて、ホームページを見ますと、防災士という形の分で、各県議会議員、市議会議員と、たくさん多いような感じがいたします。内容も少し調べましたけれども、かなり専門的なことをしっかり身につけ、最終的には試験があって防災士となるんですけれども、試験を受けずに講習だけ受ける方もおられます。せっかく試験に通って、そして、本人は意識が高いわけですから、しっかりと行政と絡みながら、また地域と絡みながら、しっかり役に立っていただくということを保障してあげますと、やりがいもあり、また、使命感もさらに燃えるんじゃないかと思いますので、よろしくお願いをいたします。
では、次に4番目でございます。
所有者不明土地の問題についてお尋ねをいたします。
今日本国内の土地において、不動産登記簿などを見ても、誰のものかわからない土地がふえています。
増田寛也元総務大臣が座長を務め、民間有識者らでつくる所有者不明土地問題研究会の推計によれば、2016年時点での所有者不明の土地が全国で約410万ヘクタールに上るということです。これは、九州の面積を上回り、登記された土地の筆数では全体の20.3%に相当し、土地の種類別で見てみると、宅地14.0%、農地18.5%、林地25.7%となっています。研究会では、このままだと2040年には1.8倍の約720万ヘクタールに達する可能性があるという試算も発表しました。この数字は、北海道本島にほぼ匹敵する面積になります。
所有者不明の土地が活用されないままでいると、土地を使えば得られた利益や所有者調査のために必要な人件費など、累計6兆円の経済損失があるとも言われています。
こうした結果を招く原因として考えられるのが、そもそも登記簿上に土地などの所有権を記載する必要がない、つまり、登記は権利であり義務でないことや、資産価値の少ない土地の場合、登録免許税や固定資産税といった負担につながる登録手続が敬遠されていると見られ、相続登記をしなくても生活に支障がないことから、明治や大正時代から登記がそのままになっている土地も多いようです。
私が測量の仕事として携わっていたころも、土地所有者の調査をよくやっていましたが、登記がなされていないケースがよくありました。
法務省は、ことし6月、所有者が不明の土地に関する初の実態調査を全国で10カ所実施したところ、最後の登記から50年以上経過している土地が、都市部で6.6%、地方で26.6%に上ると公表されました。
同省の分析では、都市部の住宅地は、売買などがあり相続登記がされるが、地方では、利用価値がないとみなされる地方の山林や農地が未登記になっていると見ているようです。
問題は、こうした状況では、緊急の災害復旧を初めとする公共事業の進捗に悪影響を及ぼし、地籍調査や農地集積の事業にも影響があるということです。また、不動産の状況を正確に把握するための調査などを行う土地家屋調査士は、土地の境界確認などの調査業務に多大な支障が出ていると言っています。
こうした状況を受け、政府も本格調査の実施へ動き出し、来年度の概算要求では、長期間登記が変更されていない土地の所有者を割り出すための調査費を計上しています。また、6月に政府が閣議決定した骨太方針には、所有者がわからない土地を公共目的などに利用できる仕組みづくりを検討すると明記、来年の通常国会で必要な立法措置を目指すとしています。
我が党も、登記を促すため、登録免許税の減免を主張しており、財産権の保障と土地の公共的利用を調和させる観点から、所有者不明の土地問題への対策を論議しています。
そこで、お尋ねしますが、質問の第1点目は、土地の所有者が不明であることで、本県の復旧事業に支障などが生じていないか、お伺いします。
昨年4月の熊本地震という大災害により、本県の道路や水路、農地や山林などは、これまでに経験したことがない規模の被害を受けました。今全力で復旧、復興に当たっていただいているところですが、先ほど御紹介した研究会の調査では、全国の土地の約2割が所有者不明という推計が出ており、本県においても所有者不明の土地が相当数あるものと推察されます。所有者が不明のため、復旧事業が進められないなどの問題は発生していないのか、現状と発生した場合の対応を手島土木部長に伺います。
次に、第2点目の質問ですが、やはり所有者不明の土地を今後ふやさない取り組みが必要で、そのためには、相続などの際に登記の手続を着実に実行していただくことが大事だと思います。
例えば、先月24日に調査訪問した京都府精華町では、死亡届を総合窓口課という部署で受け付けた際、農地や森林を相続する際に義務づけられている届け出など、必要となる手続を一覧で示した資料を相続人に送付し、さらに、手続のため相続人が来庁した際は、固定資産税係が総合窓口まで出向き、法務局などで相続手続が必要となることを説明し、相続登記の際に提出する書類のリストを渡しているようです。
こうした対面による丁寧な説明により、農地届が大幅に増加、効果が見えているようです。また、新潟県長岡市でも同様の取り組みを行い、森林の届け出が約1.4倍に増加しているようです。
このように窓口で丁寧な対応を行いますと、相続手続を理解していただき、結論として土地不明者の防止策になると思いますが、本県において、所有者不明の防止策はとられているのか、また、とられていなければ、精華町のような取り組みを県下の市町村と連携を図り進めていくべきと思いますが、県の考えを池田総務部長にお尋ねをいたします。
〔土木部長手島健司君登壇〕