熊本県議会 本会議で城下広作の会議録
3.災害時の食料供給における民間との協力関係の在り方について
◆(城下広作君) やはり正しい情報を差し上げませんと、ある意味では住める権利もなかなか行使できない、こういうことになりますので、ぜひ連携はしっかりととっていただきたいと思います。
きのうは、仮設住宅の入居が甲佐町で最初に行われたということでございます。今からどんどん仮設住宅に入居される方が出てきますけれども、やはり誰人もその権利を有するような形でしっかりと対応していただきたいというふうに思います。
次に、3番目の質問でございます。
災害時の食料供給における民間との協力関係のあり方についてでございます。
今回の震災において改めて感じたことは、水や食料のありがたさでした。発災から、水も出ない、ガスも出ない、電気も通っていなければ、多くの食材があっても口に入れることはできませんでした。こんなとき、わずかに買い置きしたパンやお菓子のありがたさは、生涯記憶から離れることはないと思います。
日ごろから、コンビニやスーパーの豊富な食料を目にしていますと、食料の確保が難しいとはとても想像しがたく、いざというときの非常食の準備を怠らないよう肝に銘じたのは、私ばかりではないと思います。
こうした状況の中で、発災当初から、わずかながらでも避難所などに届けられる水や食料などの救援物資は、生きる希望のあかしとなりました。
政府も、本震翌日の4月17日から19日までに、素早くプッシュ型の支援として、まず90万食を調達され、また、多くの民間の方々の善意の支援も重なり、避難所等にも水や食料が届くようになり、また、コンビニ等では商品がそろい始め、被災者の心の中にわずかばかりの安堵感が芽生えたようでした。
ただ、避難所ごとに支援物資の内容や配給時期にばらつきが生じた原因として、行政のマンパワーの不足が影響したのではないかと言われていました。
そうした中、私は、被災状況を確認する目的で知り合いの企業を訪問したときの話ですが、相手側の企業は、食品卸売業の会社で、倉庫には通常約10万食分の食材が用意されているという話でした。食材の内容は、当然業務用ですから、米、みそ、しょうゆから総菜、レトルト食品などさまざまです。
そして、発災当初の話を伺うと、会長いわく、相当な揺れでしたから、たくさんの商品が棚から落ち、瓶類は一部破損、食用油の缶も落ちた拍子に油がこぼれたものもあり、片づけが大変でしたとの話に続き、今後の経営の悩みと私が想像もしていない提案がありました。
その提案内容は、被災翌日早朝から倉庫の後片づけをしていると、近所の方々が、最初はまばらに食品を分けてくれませんかと訪ねてこられ、最初のうちは、中身には何ら影響のない、容器や袋に傷がついた商品を中心に無料で提供されていたそうです。
その話がだんだん周囲に広がったのか、その後は、個人はもちろん避難所からも問い合わせが来るようになり、ただでいただけるのでしょうねと尋ねられると断りづらく、次第に無傷の商品まで無償提供され、余りの問い合わせの多さから今後のことを考え、倉庫を閉めざるを得なかったと語られていました。ただ、一部では、自治会としてぜひ必要だから商品を購入させてくださいとお願いされ、代金の支払いをされたところもあったそうです。この間、無償で提供された商品の金額は数百万円に上るそうです。
震災が起きた今の食品卸業の状況は、ホテルや旅館の営業停止、観光客の激減、飲食店の閉店などで、過去に類を見ない業績不振に遭っていると嘆かれていました。この会社も4月の売り上げは一月の半分に激減し、5月はそれを大幅に下回る結果となっています。
そこで、お尋ねします。
今回、政府が調達した90万食も、マンパワーの問題等もあり、被災者のところまで届くまでにある程度時間がかかりました。
そうした状況を考えますと、地元の食品卸業者の存在は大きく、例えば私の知り合いの会社は、県内の中堅どころで10万食分の在庫を持っていますが、それよりも何倍も在庫を持っている食品卸業も当然あります。
また、配送車が整っており、各地域の道路状況や交通事情に詳しく、機動力にたけており、マンパワーの力も備わっています。
したがって、その多くの地元企業の協力が得られれば、被災直後の食料品の配給に大きく貢献できることは確かです。
当然、食品卸売業者が災害時に必要な商品ばかり備えているわけではありませんが、事前に災害協定等を結んでおけば、あらかじめ指定された避難所を中心として、食料品の配給が素早く被災された方々に届けられると思いますが、そこでお尋ねします。
災害時等において、食品卸売業などの民間企業や団体との協力関係はどのようになっているのでしょうか。また、今回の熊本地震を踏まえ、今後の協力関係について、蒲島知事の御所見をお尋ねいたします。
〔知事蒲島郁夫君登壇〕