熊本県議会 本会議で城下広作の会議録
7.特別支援学校の新設並びに卒業後の就労支援について
◆(城下広作君) しっかり頑張っていただきたい。
時間がないですので、次に行きたいと思います。
次は、特別支援学校の新設並びに卒業後の就労支援についてお伺いします。
私は、2月議会での代表質問を過去5回行わせていただきました。今回の質問に当たり、過去にはどのような質問をしていたか調べましたら、5回中3回に、特別支援教育の取り組み、特別支援学校の設置に係る質問を行っていました。
特に記憶に新しいのが、平成22年2月の代表質問で、知的障害、ダウン症、発達障害のある児童生徒の母親でつくる熊本市在住の虹の会のメンバー12名が、約1,000名の署名を持って、教育長に対して、熊本市内に特別支援学校が不足しているので、熊本市内に新たな特別支援学校の設置の要望に関連した質問でした。答弁では、熊本市内のニーズは高い、早急に検討するとの答えでした。
そして、1年後の平成23年の2月、熊本市横手の県警第2別館跡地に、重度・重複障害の児童生徒を対象とする特別支援学校を新設するとの発表があり、署名に協力していただいた方々、特に重度、重複を持つ児童生徒の保護者関係はとても喜んでおられました。
発表直後の代表質問で、特別支援学校の新設に当たり、児童生徒の受け入れの規模、地域住民との交流、県産材での木造建築を提案し、その結果、木造平屋の機能充実型の校舎に決まり、平成24年度の基本設計からスタート、本年4月開校、本年秋、一般公募で命名された熊本かがやきの森支援学校の新校舎移転が実現することになります。
今回は、この2月議会で6回目の代表質問に当たり、いろんな質問を考える中、やはり取り上げなければならないと思ったのが、熊本市内に増加を続けている知的障害のある児童生徒を受け入れるための新たな特別支援学校の設置でした。
先ほどから、熊本かがやきの森支援学校が、熊本市内にこの秋完成すると紹介したばかりですが、まだつくれとは、おかしい話と思われる方も恐らくおられると思います。
私も、この問題を取り上げることにためらいがなかったわけではありません。しかし、現実に目を向けますと、熊本市内に障害を持つ児童生徒の数がまだまだ多く、市内の特別支援学校に入れず、悩み、苦しんでいる保護者が多いという状況です。
現に、文科省の平成25年度の特別支援学校の教室不足調査では、熊本県の場合、138教室が不足しており、全国7番目の状況にあります。
このため、県では、教室不足の対応として、熊本支援学校東町分教室の開設のほか、各学校では音楽室や図書室などを転用するなどして対応していると聞いています。
まず、熊本市内の特別な支援を要する児童生徒の状況を見てみますと、小中学生では、地元小中学校の特別支援学級に通いますが、中学卒業後の約6割が高等支援学校や特別支援学校高等部に通い、そのうち、熊本市以外の特別高等支援学校や特別支援学校高等部に約5割通っている事実があります。
この状況から言えることは、特に高等部の受け入れが熊本市内では極端に不足しているということです。
熊本市内の特別な支援を要する児童生徒の保護者にとって、熊本市内を選択する環境は整っておらず、結局、熊本市以外の特別支援学校に通わせるしかないのです。熊本市以外に通わせる保護者は、毎日のように送迎にかかわり、その負担は想像つきがたいものがあります。
また、特別支援学校のもう一つの課題として、例えば大津支援学校を見てみると、小中学部の児童生徒が多いため、教室も足りない上にグラウンドも狭く、体が大きい高等部の生徒は、校舎内を1周しないとまともな運動ができない大変厳しい環境で毎日を過ごしています。他の特別支援学校でも似たような状況と聞きます。特別支援学校の問題は、学校の機能についても問題を抱えているようです。
そこで、第1点目の質問ですが、熊本市の中学校特別支援学級卒業後の約5割が熊本市以外に通っていることは大変異常な状況で、県は熊本支援学校高等部東町分教室をつくられましたが、まだまだ絶対的に足りません。
また、熊本市も、特別支援学校の高等部を平成29年度に開設する予定ですが、1クラス8名の各学年3クラスと聞いていますので、これでも現状を解消する手だてには到底足り得ません。政令市となった熊本市ですから、もう少し規模の大きいものかと期待していましたが、とても残念です。
今日の特別支援学校の現状は、教室を継ぎ足し継ぎ足しして対応してきた経緯があります。この取り組みを根本的に変える必要があると私は思います。
来年度の予算案に、平成23年度策定、県立特別支援学校整備計画を踏まえた施設整備に係る具体的な実施計画の策定を行うと聞いています。ぜひ、熊本市内の現状を踏まえていただきたいと思いますが、県としては、今の現状をどのように認識されているのか、また、今後、熊本市内に特別支援学校をつくる考えはないのか、お尋ねをします。
次に、第2点目の質問ですが、今度は特別支援学校高等部生徒の就労問題についてであります。
障害のある子供の保護者にとっては、さまざまな苦労はあったとしても、高等部までは学校の体制が整っていることで安堵感がありますが、しかし、高等部を卒業したら、一社会人として歩まなければなりません。ここで、進路の壁にぶつかります。一般の就労もまだまだ厳しい状況にある中、障害者の就労の厳しさは十分理解できます。
しかし、ハンディがあったとしても、高等部の生徒で就労が可能な場合は、一人でも多くの生徒が就労にたどり着けるように県としても取り組んでいただきたいと思いますが、残念ながら、平成24年度の特別支援学校の高等部の就職率を見てみますと、障害種によって異なりますが、全体で見ても、過去5年間の結果では、全国平均より県下は下回っています。
障害のある子を持つ保護者にとっては、卒業後が長い期間になるので、大変重要な問題です。
そこで、特別支援学校高等部の卒業後の就労の状況について、どのような認識を持っておられるのか、また、今後の就労対策についてお尋ねをいたします。
以上2点、田崎教育長にお願いいたします。
〔教育長田崎龍一君登壇〕