熊本県議会 本会議で城下広作の会議録
4.阿蘇中岳火口見物の推進について

(1)阿蘇観光のPRと火口見物への誘客
(2)火口ガス規制

◆(城下広作君) 県下で高校再編が進む中で、農業高校の生徒が、いわゆる一般企業にどんどん割合が多くなるとすれば、農業高校として必要なのかという論 議もまたその中でしなきゃいけなくなる、県下で13校今あって、農業という大事な分野で育成していこうというもともと本来の県立農業高校、そしてそのまた 上である農業大学校という部分、この役割をしっかり位置づけておかないと、結果的には、もっと学校の今度は存在ということまで問われかねませんので、しっ かりと農業後継者を育てる学校として大事にしていただきたいという考えでおりますので――どちらというと、こっち向かにゃいかぬだったですね。そういうふ うな形の分で、しっかり教育長、よろしくお願いをしたいというふうに思います。
では、4番目でございます。
阿蘇中岳火口の見物の推進について質問させていただきます。
先月は、阿蘇に関して2つの朗報が飛び込んできました。1つは、午前中話題になった阿蘇地域の世界農業遺産の登録であります。もう一つが、阿蘇中岳火口東登山道が、今月1日、3年ぶりに規制解除されたというニュースであります。
いずれにしましても、この2つの話題は、今後の阿蘇振興、ひいては熊本県の観光をさらに飛躍させる起爆剤になると思いますし、そうしなければならないと思っています。それには当然県の支援も大きくかかわってきます。
今、阿蘇地域は、田植えもほぼ終わり、豊かな水田には淡い緑色が映え、山々は、野 焼き後の褐色から、まばゆいくらいの新緑に変わり、我々の目と心を和ませてくれます。これが阿蘇の魅力であり、観光客を引きつける大事な要素でもありま す。残念なのは、昨年の大雨で、ところどころ山肌をむしばまれ、無残な姿になったことであります。あとは、自然の力を信じて、緑の山に蘇生することを祈る ばかりであります。ただ、心配することは、仕方なく災害復旧で山肌がコンクリート色に塗りかえられることが大変残念で、技術者の英知によって、でき得る限 り自然と同化した復旧に努めてもらいたいと思います。
また、もう1つ阿蘇に欠かせない観光の見せ場として中岳火口があります。今ちまた では空前の登山ブーム、その火つけ役として話題になっているのが若い女性の登山者、山ガールの言葉はよく耳にすると思います。また、登山といえば、やはり 世界を代表する三浦雄一郎さんです。先月末、80歳でエベレスト登頂の偉業は、世界中の人々に勇気と希望を与えてくれました。心から敬意を表したいと思い ます。
今回の東登山道の規制解除は、エベレスト登頂とまではいきませんが、仙酔峡から中岳火口東展望所を経由して、中岳、高岳を結ぶ主要な登山道で、登山者には人気の高いコースと聞いています。これを機に、阿蘇の魅力がさらに拡大することを期待します。
ところで、本格的な登山とは無縁でも、やはり阿蘇の観光といえば中岳火口見物、初 めての阿蘇観光客はもちろんのこと、リピーターでも、地の底から湧く原始の鼓動と白煙、火口が宝石箱に見えるエメラルドグリーンの湯だまり、観光客は皆立 ち寄ると思っていました。しかし、火口を訪れる観光客の実態は右肩下がりで、30~40年前と比べますと激減状態で、山頂の店舗は、当時の勢いをなくして います。
4月18日、私は、30年ぶりに、この質問の調査のために、火口見物をしました。 山頂に着いた瞬間、火口の地層の模様に感動、映画のジュラシック・パークと重なり、火口の底をのぞくと、エメラルドグリーンの湯だまり、温泉としては最高 だろうと余計なことを想像しましたが、ただただ感動の連続でした。小学校の修学旅行でも見学しましたが、当時の記憶とは全く違い、その時々に新たな感動を 与えくれるところだと改めて認識しました。
このように、見れば誰もが満足するはずの阿蘇火口見物が、意外なことに、阿蘇観光 のツアーに必ずしも入っていないようです。済みません、机のほうにカタログを持ってきたんですけれども、ちょっと忘れてしまいました。そういうカタログに も書いてないということを言いたかったわけです。意外なことに、観光ツアーに入っていません。大手旅行会社が販売する旅行商品の中には、火口見物がなく なったり、オプションになっているものも見られます。これでは、熊本が誇る阿蘇観光、火口を見て感動してもらうことが一番の売りだと思っていましたが、現 実は違っており、残念でたまりません。私は、熊本の阿蘇観光で火口見物がないのは画竜点睛を欠くとしか思えません。
では、なぜ火口見物が避けられるようになったのか調べてみましたら、いろんな原因 が考えられるのですが、重立った意見として、限られた観光時間の中で火口見物は時間がかかる、温泉や食事に重きを置いている、そして、火口見物を希望して もガス規制があり、当日見られるかわからない等の理由が挙げられました。
ここで気になるのがガス規制の理由なのですが、確かに、この6年間の火口見物の実 績を見てみますと、約3割の方が、ガス規制を初め、濃霧、大雪閉鎖の規制等で火口見物ができない状況にあります。大げさかもしれませんが、一生に1回阿蘇 火口見物に来て、たまたまガス規制に遭遇したことで、せっかくの火口見物を逃す人が多いということです。3人に1人ということで。外国から来た観光客の中 には、ガス規制が解除されるまで2~3時間周辺をうろうろしながら待たれる方も多いと聞きました。この阿蘇火口、一般の観光客が活火山の火口を間近で見ら れるのは世界でも非常に珍しいとされており、その価値を外国の方はよく知っており、意外と知らないのが日本人で、身近過ぎてその価値に気づいていないのか もしれません。
県は、熊本の観光を語るとき、必ず阿蘇をPRされます。火口見学をなるべく避けようとしている現状を踏まえ、県ではどのようなイメージで阿蘇観光をPRされているのでしょうか、火口見物への誘客に対する思いを含め、知事にお尋ねいたします。
また、せっかく火口見物を希望しても、約3割の方がガス規制等で見られない状況に ありますが、ガス規制は、ぜんそくや心臓疾患等の方を対象として厳しめに設けられているとも聞いています。過去に火口見物で亡くなられた方も、ぜんそくや 心臓病の疾患があった方だったそうです。とうとい命を守るため規制を厳しくすることは当然理解しますが、持病のある方とそうでない方の対応を区別する規制 のかけ方を検討する余地もあるのではないかとの声も上がっていると聞きますが、このような意見に対して知事はどのように考えておられるか、お尋ねをいたし ます。
〔知事蒲島郁夫君登壇〕