熊本県議会 本会議で城下広作の会議録
1.平成22年度予算案について

(1)マニフェストの重み
(2)予算案の中身についてはどのように評価
(3)箇所づけについて

◆(城下広作君) 公明党の城下でございます。早速、党を代表して質問をさせていただきます。
春は昔から荒れるとよく言われます。まさにきょうは真冬に逆戻り、朝から小雪が降っているわけでございますけれども、これに乗じて知事並びに執行部の皆さんの答弁が寒くならないようにというふうに思っております。
また、質問に入る前でございますけれども、ことしに入り、1月のハイチ地震、2月のチリの地震、大変大型の地震が相次ぎ、とうとい人命が失われました。心から御冥福をお祈り申し上げますとともに、一日も早い復興をお願いしておきたいと思います。
また、地震大国日本、決して他人の国のことと思わずに、まさに日本というのはいつこういう地震が起こるかわからない、こういうことを肝に銘じながら私たちは政治家としてしっかり対応しなきゃいけないし、県としてもそういう心構えを常に持っておく、このことが大事じゃないかというふうに思います。
地震といえば、忘れもしない阪神・淡路大震災がございます。当時は、村山内閣、自衛隊の解釈によっていろんな考えがありました。結果的には自衛隊の出動がおくれまして、とうとい命が救えなかったという苦い経験もあります。何か今の政権、自衛隊の解釈によって、要するに政治が動かない、ごたごたするような形、よく重なって見えるのは私だけでしょうかという感じがいたします。
いずれにしましても、政治は決断力が勝負、このことが私たちは大事だということで、今から質問しますけれども、決断力、また今の内閣、いわゆる民主党を中心とした政権、このことに対しても決断力を促したいというふうに思って、早速でございますけれども質問に入らせていただきます。
まず第1問でございますけれども、平成22年度予算案についてでございます。
昨年、政権交代がなされ、鳩山内閣が初めて編成した平成22年度予算案が年度内に成立の予定です。予算案は、一般会計の総額が92兆2,992億円は過去最高。そのうち新規国債発行額は、税収の37兆3,960億円をはるかに上回る過去最大の44兆3,030億円。私は、この予算案を、約半分が借金で賄われていることから、大丈夫かな予算案と思っています。国民の大半もそう思っているのではないでしょうか。
昨年の今ごろは、総選挙前ということもあって、当時野党であった民主党の皆さんは、むだを省けば金は幾らでもある、霞が関には埋蔵金が20兆、30兆は大丈夫だと豪語されていた記憶があります。その言葉に、国民のほとんどが信じ、期待をしていたと思います。私は、豆腐の20丁、30丁じゃあるまいし、そんなに自由に使える金などあるわけないといろんな方々に言ってきました。もし埋蔵金があっていたら、今回の予算案でこれだけの国債発行は必要なかったはずです。
そこで、あの埋蔵金は見つからなかったのでしょうか。うわさに聞く徳川の埋蔵金のように、どこかに埋もれているのでしょうか。埋蔵金があると言われていた方々に、ぜひ聞いてみたいです。
政権交代後、埋蔵金探しに似たものがありました。事業仕分けです。これは公明党も主張していたので大変いいことなのですが、仕分ける方がどこまでわかっているのか、甚だ疑問が残りました。また、進行役も、脱官僚と言いながら、事前に官僚がつくった指摘事項をもとに仕分けするやり方は、脱官僚の看板がむなしく見えました。おまけに、科学振興で世界一の先端を目指す事業に対して、2番じゃだめなんですかと名せりふまで誕生しました。
私は、今回の質問原稿の作成に忙しかったため、バンクーバーオリンピックを余り見ることができませんでしたが、フィギュアスケートだけは見ました。浅田真央選手が惜しくも銀でした。あの悔し涙には心を打たれました。次は金メダル目指して頑張ってもらいたいと思います。もしかしたら、あの蓮舫議員、銀じゃだめなんですかと言ったんじゃないかと思います。
この事業仕分けも、目標の3兆円を大きく下回り、1兆円にすら届かない結果となりました。このように、財源確保は口で言うより簡単ではなかったようですが、民主党は、マニフェストに、子ども手当、暫定税率廃止、高速道路無料化、高校無償化など、バラ色の政策が予算の裏づけがないまま実行されようとすることや、そのために必要とする多額の借金を国民には説明していなかったどころか、増税まで実施しようとしています。
具体的に言いますと、15歳以下の扶養控除については、住民税も廃止するとして約 4,200億円の増税、また、16歳から18歳までの所得税の特定扶養控除の縮小として約1,000億円の増税、1つ、たばこ税の増税で1,700億円等々、合わせて1兆円になります。
子ども手当については、全額国庫負担を約束していたにもかかわらず、平成22年度における子ども手当の支給に関する法律の名称が示すとおり、平成22年度限りの単年度、しかも地方負担4,652億円、事業主負担1,436億円を残した形で、恒久的な財源がほとんど見当たらず、事実上、公明党が長年取り組んできた児童手当の拡充になっています。
ガソリン税などの暫定税率の廃止も、2兆5,000億円の減税とあおっておきながら、全くもとのまま、高速道路の無料化は、全線にはほど遠い、車の通行量が少ない部分だけ等々、このような状況です。
また、声を変えてまで叫ばれた「いのちを守る予算」では、逆に命が危ないと削られた事業もあります。
平成22年度の学校の耐震化関連予算については、当初予算の2兆円の景気対策枠の活用も視野に入れるとのことであるが、この4~5年措置されていた耐震化のための大型補正予算も、平成22年度においてはまだ不透明であり、これまで進めてきた耐震化の勢いが鈍るのではないかと危惧をしております。
また、公明党が全国で署名活動し実現したワクチンと検診でほぼ100%予防できる子宮頸がんや乳がん検診無料クーポン券の関連事業費は、約3分の1に削減されました。命を守る鳩山内閣ではなかったのでしょうか。
そのほかにも、食糧自給率を高めるために必要な農村整備事業、耕作放棄地対策事業、子供に夢と希望を与える文化芸術振興の予算などを削減しました。
かといって、今一番期待され、必要とされる景気・経済対策の牽引力となる事業が欠落していることから、成長戦略なき先行き不安予算であると言わざるを得ません。
よって、公明党は、衆議院で予算案に反対しました。ただし、予算関連5法案のうち、所得税法改正案、地方税法改正案、特例公債の発行を認める公債発行特例法案に反対、地方交付税を増額するなどの地方交付税法改正案と租税特別措置透明化法案には賛成をしました。
そこで、知事に何点かお尋ねをします。
昨年の衆議院総選挙は、政権交代の可能性が高いとささやかれていた選挙でもありました。その最大の選択の要素として注目をされていたのが各党のマニフェストだったと思います。結果的に民主党が大勝利し、政権交代が実現し、平成22年度の予算案を組んだわけですが、当初言っていた約束とかなり違う結果になったと思いますが、知事はマニフェストの重みをどのように考えておられるのか、お尋ねをします。
次に、今回の予算案の中身についてはどのように評価をされておられるのか、また、特に不満に思う予算措置の事業があれば具体的にお示しください。
次に、箇所づけについてお尋ねします。
あれだけ公共事業に対しては厳しかっただけに、今回の問題は、民主党を支持する多くの国民も大変がっかりされたと思います。いわゆる公共事業の予算配分を、通常の国から県ではなく、民主党から自治体へと、極めて誤解を招く伝達がなされたわけですが、大臣らの発言は、まだ決定事項ではないから問題はないと言っておられましたが、裏にはどこの県の要望、陳情ありと記されているという話です。それは、あたかも要望あるかなしかで取り扱いが変わると言わんばかりの資料と思いますが、真実はわかりません。
そこで、お尋ねします。
本県において、陳情、要望して箇所づけされたところはあったのでしょうか。また、このように政権を担う中心的立場の民主党から地方自治体へ予算決定の前に事前連絡があることに、蒲島知事はどのような所見をお持ちなのか、お尋ねをいたします。
〔知事蒲島郁夫君登壇〕