熊本県議会 本会議で城下広作の会議録
4.教育問題について

(1)教員採用の在り方
(2)不登校対策の充実強化
(3)障害児の小学校入学手続きの在り方

◆(城下広作君) 極めて駅という場所は、見ばえといいますのが非常に私は大事になってくると思います。大体駅の前に立って――いろんな県に行きますと、必ず何々コムとかという金融会社の看板があるとか、何々ゼミナールとかという形の分が大体定番であったわけですけれども、そういう景観でやはり駅前をつくるというのは、これはいかがなもんかということで、ある意味では地区計画という形で、やはり本当にこちらが思い描くようなまちづくりをある程度規制をしていくと。そしてそれも住民と話をしていくという形の手法として地区計画が大事なわけです。私は、これはもう本当は今の段階である程度やっていかないと、既にぽつぽつと建物が建って、私たちが本当にこれでいいのかなと思うようなのが、景観を邪魔する場合があるということで心配しているわけです。少なくとも私は、半年ぐらいおくれて、ちょっと後手後手にされているのではないかというふうな感じがいたします。
また、リバーミュージアム構想、これも非常に夢があるというふうに私は思っております。ところが、なかなか現実は、溝が深いから景観が悪いというふうなことを言われたりとか、都市型河川ですから水が上がってどうだこうだとかいうことばっかり考えられますけれども、何もしないと、熊本城と熊本駅が、いわゆる人の流れがよくなるということはできないということだけはやっぱり考えていただきたい。何か仕掛けるということはぜひ大事な観点だというふうに思っております。
次に、教育問題について質問をしたいと思います。
本年もまた教職員の不祥事が相次ぎ、十一月現在、懲戒処分が十二件、十四人、うち免職四人という状況であり、かつてのごく一部の教職員がと釈明で済むような件数とは言いがたく、内容も耳を疑いたくなるような不祥事が数多く見られました。
県民も、今後二度と起こらぬよう再発防止の取り組みを注視しているのですが、既に実施されている昨年三月の熊本県教職員不祥事防止対策検討委員会でまとめた六項目の徹底と、十一月一日に外部の有識者を加えた第一回熊本県教職員資質向上対策委員会の今後取り組む中の検証で、ぜひ効果を上げてもらいたいと思います。
また、一方で学校教育の充実発展は教職員の資質に大きく左右されることから、真に優秀な人材を確保するため、従来の方法にとらわれない熊本県独自の採用のあり方について研究を進めるプロジェクトチームを発足させ検討していますが、ぜひ優秀な人材が確保できる採用方法を考案してもらいたいと思います。
そこで、第一点目の質問ですが、教職員の採用に関しては、常々一般社会と交流の経験が乏しいことを指摘する声が多いことから提案をしたいのですが、採用試験の合格者は、二年間は、本人の身分を正の教職員ではなく、教員見習い期間として職務に当たり、その間、校内にとどまらず、民間企業やボランティア等にも参加をし、幅広い社会交流を体験し、その間特別な問題がなければ正の教職員として採用するとした制度の導入を考えてみてはと思います。
また、もう一つは、一次試験に合格したが二次試験で不合格になった受験者に対して、翌年に限って一次試験を免除するという制度です。理由として、再受験の意欲を喚起することのほかに、一次試験で落ちると、また次の受験で一次試験の勉強に追われ、何ら資質の向上につながる取り組みができないまま、また受験をする。それより、一次試験が免除されることにより、二次試験において求められる実践力向上の取り組みや社会適応能力の向上に努力する時間がふえることで、より優秀な人材に成長する可能性があり、人材確保に期待が持てると思いますが、いかがでしょうか。
ちなみに、大阪府は、この制度をことしから実施しております。
第二点目の質問ですが、義務教育時における不登校の問題について質問をします。
県下で、平成十五年度において、三十日以上学校を休んでいるいわゆる不登校の児童生徒は千八百十二人いると聞いています。原因はいろんなケースが考えられ、保護者と先生は、あらゆる手だてを考え取り組んでいるのですが、不登校が始まり出したらそう簡単に改善することは難しいようです。
そこで県も、スクールカウンセラーを中学校に配置したり子供と親の相談員を小学校に配置したり、各教育事務所は、いじめ・不登校アドバイザーへの相談を引き受けたりして一定の効果を上げているのですが、全体の数から見ると、まだまだ手だてを必要とする児童生徒は数多く存在することから、有効な対策が県下で望まれています。
専門家の意見によると、本来初期対応が最も重要と指摘する声が多いのですが、初期の段階は保護者や先生で対応することが多く、特に先生の対応については、ほかの児童生徒の面倒もあることから、努力はしているのですが、きめ細かな対応をすることには厳しい環境にあると言わざるを得ません。それをカバーするために、先ほど述べたような取り組みが実施されているのですが、そのほとんどが、本人もしくは保護者が前向きに利用したことにより改善に向け一歩前進したわけで、問題は、本人はもとより、親の時間の都合やサービスを提供する学校や教育関係側の場所や日程に利用者との隔たりが多いことで利用しづらく、結果的に初期対応がおくれ、事態の悪化を招くことになっているようです。
このような問題を解決するためにも、相談窓口の設置も有効なのですが、より効果を上げるためには、窓口対応より訪問アドバイザー等の体制を充実強化した方が、より本人と会える可能性が高くなり、本人と直接触れ合うことで効果を発揮しやすいのではないかと思います。
現に、文部科学省の学校基本調査速報によると、不登校の児童生徒の改善に一番効果があったのは、やはり家庭訪問でした。全国の例では、北海道室蘭市では、四人の訪問アドバイザーで十九人の中学生が学校に復帰、大分市では、二十九人の大学生を相談員としてメンタルフレンド事業として効果を上げ、熊本市では、ユア・フレンド事業として七十七人が家庭や学校、市教育センターに派遣され、十人が登校するようになったそうです。
今、若者の無就業者、ニートの問題が深刻化しています。出生率を上げることも重要ですが、既に社会に参加している若年者の育成が、より少子化の重要政策ではないでしょうか。
以上のことを踏まえ、今後の対策については、特に派遣事業に力を注ぎ、中でも、派遣対象者は、教員を目指す若者などが年齢的にも近く話しやすいことから効果が出やすいことも考慮し、より結果の出る不登校対策を考えるべきと思いますが、今後の取り組みをお尋ねいたします。
第三点目の質問ですが、障害児の小学校入学に際し、現在の手続の方法は、まず保護者が地元校区の小学校に特殊学級の設置希望の要望書を提出、ただし、必ずしも設置が可能とは限らず、その後設置が決まった場合には、入学意思の誓約書を提出させられ、入学の許可を待つ状況です。その間、教育センターに呼び出され、面接を受けなければならないそうです。障害児を持つ保護者は、義務教育である小学校に入学する際でも事務的な障害に遭うと、不満を漏らす声を聞きます。
健常児であれば、どこの小学校に行けばいいのか、また入学できるのか、そのたびに要望書や誓約書を書くことは絶対ありません。国も要望書や誓約書提出の規定を設けていないのに、県が各市町村に義務づけているのはどういう理由なのでしょうか。出さなくても罰則規定がないのですから、保護者の精神的苦痛を考えれば、最初から提出させる必要はないと思いますが、提出の理由と完全廃止の考えはないのか、お尋ねをいたします。
以上三点、教育長にお尋ねをいたします。
〔教育長柿塚純男君登壇〕