熊本県議会 本会議で城下広作の会議録

1.「三位一体の改革」と県行財政改革への取組みについて

(1)「三位一体の改革」と県民生活の影響等
(2)熊本県行財政改革基本方針策定への影響

◆(城下広作君) 午前中、お二人の議員の方が質問されました。私も今回いろいろと考えまして、知事だけではなく、幅広く五部局の方にいろんな形で質問させていただきたいということで、今回の質問づくりをさせていただきました。
また、午前中に水俣病対策について質疑がなされました。この問題は、御承知のとおり、評価に値する県の案が国に提出され、今、県と環境省の協議が始まったところでございます。執行部におかれては、県の案に沿った形で成果が得られるよう今後取り組んでいかれると信じますし、私どもも、この協議を見守ってまいりたいというふうに思っております。
では、第一番目の質問でございますけれども、三位一体の改革と県行財政改革の取り組みについてお尋ねをしたいと思います。
ことし五月、小泉首相の指示を受け、全国知事会など地方六団体は、三兆円規模の税源移譲に見合う地方向け補助金削減案を八月に取りまとめ、政府に提案いたしました。それを受けた先月二十六日の政府・与党の三位一体の改革の全体像の中身は、補助金削減で二兆八千三百八十億円、税源移譲で二兆四千百六十億円程度という内容でした。
しかし、補助金削減案の中身は、四千七百億円程度は、スリム化、いわゆる廃止に伴うものであり、六千億円程度は、国の権限が残る交付金化でした。それを差し引くと、実質は一兆七千七百億円程度の削減だったと思います。
また、税源移譲に対しても、十六年度実施分の六千五百六十億円程度の税源移譲分を除けば、実質義務教育費の八千五百億円、国民健康保険負担金の七千億円が全体の約九割を占めている状況です。さらに、国民健康保険負担金の七千億円は、もともと地方六団体の当初の削減案には盛り込まれておらず、仕事はふえるが権限は変わらないと、早くも心配されているようです。
そして、税源移譲が三兆円に達するための残り二割程度の予定項目に入っている生活保護負担金や児童扶養手当等も同様で、県の負担だけがふえるような気がしてなりません。この問題は、地方も参加する協議機関で、国と地方の役割分担をしっかり論議してもらいたいと思います。
このようなことから、改革案は真の権限移譲に結びついているかと評価してみると、一時代替案ゼロ回答の発表をした時点とは確かに前進しましたが、小泉首相の地方六団体が苦労の末まとめた案を真摯に受けとめるようにとの指示とはずれが生じ、不満が残る結果となりました。
潮谷知事も、三位一体の改革は、質、量とも問題を残すとして五十点という評価をされましたが、女性知事として同じように活躍されている三知事を初めほとんどの知事が、大いに不満、もしくは、どちらかと言えば不満という意見が圧倒的でした。しかし、ある知事は、やっとこれから国と地方が対等になれるプロセスができたと前向きにとらえる声もありました。
今後とも政府・与党との協議は必要不可欠であり、今まで同様予断を許さずに、地方分権、税源移譲を確実にかち取るまで、時には厳しい発言など交えながら知事には頑張っていただきたいと思います。
ところで、県民は、八月の地方六団体がまとめた三位一体の改革案が政府・与党に提出され、先日二十六日に全体像が発表されるまで、テレビ、新聞を初めとするマスコミの報道で毎日のように三位一体がどうだとか、何を騒いでいるのかと、今現在でも疑問に思っている方が多いと思います。県民にしてみれば、どのような決着であれ、日々の生活に影響がなければどちらでもよいと思われているかもしれません。
今回の政府・与党の全体像の中で税源移譲が不十分であっても、県民は、国と地方の役人の主導権争いと思っているのかわかりませんし、三位一体の改革の中で特に話題になった義務教育費削減の問題以外は、余り関心もなく、理解しづらかったのではないかと思います。もし県民が補助金の削減や税源移譲が不十分だった場合個人の生活に影響を及ぼすと判断すれば、ただ静観することはなく、それどころか、県民の声が国を動かす原動力になり得たかもしれないと思います。これは全国的にも言えるのではないでしょうか。
そこで、第一点目の質問ですが、県民への関心を高める
上からも、県民生活への影響をわかりやすく説明することが大切ではないかと思います。今回の三位一体の改革が県民生活にどのように影響するのか等を含め、知事の御所見をお伺いいたします。
第二点目の質問ですが、現行の財政健全化計画が二〇〇一年から取り組まれているが、新たに熊本県行財政改革基本方針の策定が進められていると聞いています。詳細な内容ではないにしても、今回三位一体の改革の全体像が提示されたことで、現在策定している基本方針に影響はないのか、あるとしたらどのようなことが考えられるのか、お尋ねをします。
以上二点、潮谷知事にお尋ねをいたします。
〔知事潮谷義子さん登壇〕