熊本県議会 本会議で城下広作の会議録

7.人口減少対策について

 


◆(城下広作君) 札幌の中学校で、80歳の方に、どうしてこの夜間中学に学びに来られたのですかというふうに聞きましたら、小さい頃に両親が早く亡くなり、妹、弟を面倒見なきゃいけなくなったから学校に行けなかったと、だから今になって中学にもう一回行って勉強したいということで来られている方が、80歳代の方でございました。そして、中学校の定期を持って電車に乗る、1回は止められたそうです。中学生の学証というか、それで年齢がおかしいから。だけど今中学校に行ってますということで、そのことを見て、ああ、なるほどということで、駅員の方もそういう理解をされたと。
 もう一人の方は、高校生ぐらいの年代だったんですけれども、小学校2年からずっと不登校で学校に行っていなかったと。この夜間中学を母親に勧められて、じゃあ行ってみようかと行ったら、小学校2年から中学3年まで1回も学校に行ってなかった子が、今4月から入学して、この8月まで一日も欠かさず中学校に来ているという話を聞きました。
 事前に、その校長先生は、熊本から私が来るということで、うちの状況も調べておられたら、熊本は「誰一人取り残さない」という言葉で、ある意味では広告がしてありましたと、この言葉はすばらしいですねということを言われました。学ぶこと、そのことを大事に、そして誰一人取り残さないという、熊本がそういう方向でつくっていくということは大変感動しましたというふうに最初に言われましたものですから、本当に、熊本の夜間中学も、私は本当に期待をしたいと思います。よろしくお願いをいたします。
 では、次の質問に移らせていただきます。
 人口減少対策についてでございます。
 この問題をあえて今回取り上げましたのは、最近、世界的に著名な方々の日本の人口減少に関する警鐘や政府が発表したデータを見ることで、改めて危機意識を持たねばと感じたからであります。
 例えば、今年5月、アメリカのテスラのイーロン・マスクCEO、宇宙開発やツイッター買収の件で話題になった方ですが、出生率が死亡率を超えるような変化がない限り、日本はいずれ消滅するだろうとツイッターで投稿したことが、国内外で話題となりました。
 また、世界的に著名な投資家のジム・ロジャーズ、世界3大投資家の一人と言われておりますが、大の親日家でもある氏が、先月、8月、日本と世界経済について解説された部分において、次の大暴落で最もひどい影響を受けるのは日本だと言われています。
 その理由として挙げられたのが、お金を印刷し続ければ続けるほど、次の大暴落は、よりひどいものになる、そして数多くの国家が痛手を負うことになるが、その中で一番ダメージを受けるのは日本になる、なぜなら、日本の出生率は低く、外国人をほとんど受け入れておらずなどと、両氏とも日本の人口減少や少子化が経済に対する影響に警鐘を鳴らしています。
 当然、そのような意見に対して否定的な学者や経済人もおられますが、両氏とも世界的に影響力があるため、発言が気になるのは私一人ではないと思います。
 今年6月3日に厚生労働省が発表した人口動態統計によると、昨年の出生数は81万1,604人で、6年連続過去最少を更新しました。日本の総人口も、2008年の1億2,800万人をピークに、その後減り続け、2020年には300万人減り、2045年には総人口が1億人を割ると推測されています。
 このような状況に対し、国も大変危機感を持って人口減少対策に取り組んでいるのですが、少子化の原因と言われる未婚化の進展、晩婚化の進展、夫婦の出生力の低下について、近年、若者の結婚観や家族観も変わり、そう簡単に変化が見られるとは思えない状況です。
 このような状況に敏感に反応し、我が町の存続をかけ、何が何でも人口減少に歯止めをかけると強い意思で取り組まれている首長さんがおられるようで、その結果、人口増加の結果を出しているところがあるようです。
 例を挙げてみますと、子育て世代の流入で人口が増え続け注目を集めているのが、東の千葉県流山市、西の兵庫県明石市と言われています。両市とも共通して挙げられるのは、徹底した子育て世代に対する支援です。
 例えば、明石市では、2013年から段階的に医療費、保険料、おむつ、給食費、遊び場の5つの無償化を実現しています。財政等の問題で様々な論議はあっているようですが、結果的に人口は9年連続増加し、2020年の合計特殊出生率は、全国の1.33を大きく上回る1.62だそうです。
 似たような取組を行っている市町村は県内や他県にもあると思いますが、どこの市町村も人口減少対策や少子化対策は死活問題として全力で取り組んでいるようです。
 そこで質問しますが、人口減少対策や少子化対策は、どちらかといえば国や市町村の取組がクローズアップされることが多く、県の取組が注目されることはあまりありません。しかしながら、この両者の問題は、県にとっても大変重要な問題です。
 本県として、人口減少の問題に対しては、どのような危機意識を持たれているのか、また、少子化対策については、これまでどのような取組を行ってきたのか、その中で他県に勝るような取組があるとすればお示しいただき、なければ今後の決意を蒲島知事にお尋ねをいたします。
  〔知事蒲島郁夫君登壇〕