熊本県議会 本会議で城下広作の会議録
3.県立農業高校、県立農業大学校の進路状況について

(1)県立農業高校の就農者育成と使命
(2)県立農業大学校のあり方

◆(城下広作君) さまざまな就農対策は手がけていますけれども、それでも高齢でやめる方の数に追いつくか、同じとは――それはいくことはどだい無理でしょうけれども、今の農業の規模をできるだけ守る、食糧維持をできるというのが、本県でどういう形で育成していくかということは大変課題だというふうに思います。やっぱり知恵を絞りながら、今やっていることは着実にやりながら、さらにまた、新たな施策が必要であればというふうに思います。
そこで、具体的に、では、その農業後継者になり得るというふうに考えられる県立農業高校と県立農業大学校の進路状況について質問をさせていただきます。
先ほどの農業問題の農業後継者問題に大きくかかわってくるのが、県立農業高校と県立農業大学校の進路状況にあると思います。この2つの学校の特徴は、何といっても、農業に関する知識や経験を授業や実習で習得できるということに尽きると思います。
私も、県下の幾つかの県立農業高校と県立農業大学校を訪問したことがあり、広い敷地内での水田や畑、学校によっては酪農施設も備えた高校もあり、さすが県立農業高校と感心し、この環境で学ぶと、ある程度農業の基礎は学べるだろうと想像できました。また、県立農業大学校に至っては、県立農業高校とはまた違った雰囲気があり、学内も一回り広く充実した施設が多いようで、即戦力を養う雰囲気が学内中に漂っている感じがしました。
こうした環境で学ぶ生徒や学生は、やはり実家が農業にかかわっていて、将来実家の農業を継ぐ生徒や学生がほとんどだと先入観を持っていましたが、今回県下の県立農業高校と県立農業大学校の進路状況を詳しく調べてみますと、その結果は、まず、県立農業高校の入学者では、必ずしも実家が農家でない人が多いという実態、県立農業高校の進路状況を見てみると、就農者はわずか1.8%、農業大学校への進学が5.6%、普通大学や専門学校への進学が29.6%で、一番多いのが、農業と全く関係のない一般企業への就職が37.2%という状況であります。また、県立農業大学校の入学状況では、農業高校からの進学者の割合が66%、そのうち農家の子弟の割合が56%、非農家子弟の割合が44%となり、卒業後の進路も、平成24年度では、就農する者と農業関係に就職する者の割合が76%で、23%は農業関係外に就職しているという結果でした。
こうした状況が続くのであれば、県立農業高校から農業後継者が育たないという結果になってしまいますし、県立農業高校の使命や設立の意義まで問われかねません。また、県立農業大学校においても県立農業高校と同じような傾向が見られ、せっかく専門知識を身につけても、農業の専門知識を社会の中で貢献できない結果となってしまいます。
そこでお尋ねしますが、県立農業高校の進路で、約4割の生徒が農業とは一切関係ない分野に就職する現状をどのように捉えておられるのか。また、さきの質問でも述べましたが、今日、就農従事者が減少する中、県立農業高校を卒業する生徒が就農者になることを期待する関係者は大変多いと思います。そこで、今後の県立農業高校の就農者の育成と使命について、教育長にお尋ねします。
また、県立農業大学校にしても、卒業者の23%、約4人に1人が農業以外の分野に就職する状況にあるのですが、これは、県立農業高校とは別の次元で問題があると思います。せっかく農業の専門知識を大学校で学んでも、それを生かす職場がないのか、選ばないのか、このあたりの進路状況の分析を行うべきと思います。そして、今後の農業大学校の使命についても検証する必要があると思いますが、農業大学校のあり方について、農林水産部長にお尋ねいたします。
〔教育長田崎龍一君登壇〕