熊本県議会 本会議で城下広作の会議録
8.自転車の安全利用対策の推進について

(1)自転車の取締りの状況等
(2)教育現場での啓発
(3)自転車の安全利用推進に関する条例の制定

◆(城下広作君) 本県にとっては、大変重要な農業でございます。いずれにしましても、本当に知事が先ほどから言われましたように、農業で稼げ、また生活できるような強い農業を目指していただきたいというふうに思います。私たちも、しっかりとまた農業に対する考え方を持っていきたいというふうに思っております。
では、次に、自転車の安全利用対策の推進について質問をさせていただきます。
警察庁の調べによれば、国内の交通事故は、1999年の85万363件に対して、2009年は73万6,688件と減少傾向にあり、自転車事故も、05年を境に減少傾向に転じているようです。
しかし、自転車が加害者となる自転車対歩行者の事故に限れば、99年の801件から09年の2,934件へと、この10年間で約3.7倍にふえているようです。本県を見ても、99年の12件から09年の20件へと1.7倍にふえ、同じような傾向を示しており、看過できない状況にあります。
07年の道路交通法改正では、自転車の車道走行ルールが徹底され、自転車は車道が原則、歩道は例外などとする自転車安全利用5則が打ち出されました。
ちなみに、歩道を走れる条件は、1つに、道路標識などで認められている、2つ目、3歳未満や70歳以上の人などが乗る、3番目に、道路工事などでやむを得ないなどの場合に限られ、歩道を走る際は、自転車の通行指定部分がない場合は車道寄りを徐行しなければならないことになっています。このようなことは意外と知られていないのではないかと思います。
その自転車は、免許証も要らず、手軽に乗れることで、幼児や高齢者まで幅広く親しまれ、また、近年は、エコ意識や健康志向も重なり、通勤や通学など生活の足として利用者がふえています。
このような現状から、今後ますます自転車にまつわる事故がふえると予測され、事故防止に努めなければなりません。
そもそも自転車が道路交通法上では車両に位置づけられていることを知らない方が多いのではないかと思います。そして、自転車の交通違反の例と罰則についても知られていないのではないかと思います。
ここで、自転車の交通違反と罰則を紹介したいと思います。
まず、1つ目、酒酔い運転、5年以下の懲役または100万円以下の罰金。夜間、無灯火で走行、5万円以下の罰金。2人乗り運転、2万円以下の罰金または科料。傘を差しての片手運転、5万円以下の罰金。携帯電話、メールをしながらの運転、5万円以下の罰金。イヤホン等をしながらの運転、5万円以下の罰金。信号無視、3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金。並んで走る、2万円以下の罰金または科料。歩行者妨害、歩行者への注意や徐行を怠るということです。3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金。歩行者に衝突、逃走、1年以下の懲役または10万円以下の罰金。歩行者が負傷していれば10年以下の懲役または100万円以下の罰金。一時停止違反、3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金。故障したまま乗る、5万円以下の罰金。右側通行運転、3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金。ベルを鳴らしながら歩道を走って歩行者を退かそうとする、2万円以下の罰金または科料。歩行者の横を猛スピードですり抜ける、3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金。徹夜や過労でふらふらになり、自転車に乗ってふらふら走る、3年以下の懲役または50万円以下の罰金。見通しのきかない交差点に徐行しないで突入、3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金。前の自転車を追い越すときに左から追い越す、3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金。ハンドサインを出さずに右折、左折、停止する、5万円以下の罰金。ブレーキが故障したまま走る、5万円以下の罰金。交差点で右車線に入り、そのまま右折、2万円以下の罰金または科料。
以上、自転車にはこのような違反や罰則規定があり、自動車のような交通反則切符、いわゆる青色切符がなく、すべて交通切符、赤切符、罰金であり、自転車の方が罰則が重くなるケースが少なくないようです。
例えば、同じ信号無視でも、普通自動車なら、交通反則通告制度が適用され、9,000円の反則金で済みますが、自転車になると、この制度の適用がなく、3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金という厳しい罰則があります。自転車だからといって、決して軽く見てはいけないようです。
また、自転車対歩行者の事故にまつわる判例を2つ紹介したいと思います。
1つは、自転車通学中の高校生が、過って歩行者に衝突し、脊髄損傷の重傷を負わせたケースの賠償額は、約6,000万円に上がったケースがあります。2つ目に、女子高生が、夜間、携帯電話を操作しながら無灯火で走行中、看護師の女性に衝突して重大な障害を負わせたケースでは、加害者側に5,000万円の賠償が命じられました。
自転車には、自動車のような強制加入の自賠責保険がなく、個人で自転車保険に加入していなければ自腹になってしまいます。万が一保険に加入していなければ、自転車事故でも想像を絶する苦労が待ち受けています。
そこで、第1点目の質問ですが、本県においては、ここ数年の自転車による交通違反件数はどのような状況か、お尋ねします。
また、私が見る限りでは、先ほどの自転車の交通違反に当たる携帯電話、メールの使用、2人乗り、並んで走る、夜間無灯火など頻繁に見ますが、自転車の交通違反取り締まりは、車やバイク等は徹底して取り締まられていますが、自転車も同じように取り締まりされているのか。あわせて、警察では、違反行為を減少させるためにどのように取り組んでおられるのか、お尋ねをします。
第2点目の質問ですが、やはり自転車に乗る機会が多いのは学生で、中でも特に高校生や中学生が多いと思いますが、先ほど挙げた事例のように、不幸にして加害者になってしまった場合、大変なことになってしまいます。携帯電話、メールをしながらの運転による5万円以下の罰金でも大変なことです。
大半の学生が事故の賠償責任や罰則を知らないゆえに運転していると思われるので、保険加入を含め、教育現場での啓発が必要と思いますが、どのように考えておられるのか、お尋ねをします。
第3点目の質問ですが、自転車は多くの県民も利用します。近年の事故の増加を見ると、自転車の運転に対するマナーの向上や交通ルールの遵守は、今後ますます要求されると思います。
また、九州新幹線開業を間近に控え、観光立県を唱える本県にとって、特に熊本市内においては、大勢の観光客が押し寄せ、町並みを歩く人もふえてくると思います。そこで自転車による歩行者への妨害があったりすれば、イメージも悪くなり、事故もふえます。県では、今第9次熊本県交通安全計画を策定中と聞いています。
そこで、今回の策定に当たっては、自転車の安全利用の推進に資する施策を十分盛り込む必要があると思いますが、いかがでしょうか。
また、自転車の安全な利用のあり方を示した熊本県自転車の安全利用推進に関する条例を策定すべきと思いますが、県の考えをお尋ねいたします。
以上、1点目を警察本部長に、2点目を教育長に、3点目を環境生活部長にお尋ねをいたします。
〔警察本部長中尾克彦君登壇〕