熊本県議会 本会議で城下広作の会議録
4.有権者の声の反映について

(1)二元代表制
(2)民意を反映した選挙制度

◆(城下広作君) 熊本駅周辺の物産館は、今計画されているのはあくまでもJRの敷地内で店舗、テナントとして入る——スペースも限られていますので、県全体の物産品をPRするというのはなかなか難しい。また、民間企業ですから、自社の部分だけがどうしてもクローズアップされるということで、私は、やはり県が主体となった物産館、そして、それもある程度規模が大きくて、まさに熊本県下全体を旅行できなくても、熊本駅に行ったら、ある意味小さな範囲で熊本全体の体感を感じたと、ある意味では物だったりパネルだったりいろんなことを目にすることで、この次はここに行きたいなと思うような意味でこの物産館が必要ではないかというふうに考えています。ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。
次に、有権者の声の反映ということで質問をさせていただきます。
地方分権が叫ばれる中、今、首長と地方議会の対決が話題になっています。我が国は、憲法で二元代表制をとっているので、自治体の首長も地方議会議員も、両方住民の直接選挙によって選ばれているのは御承知のとおりであります。
このような二元代表制のもとでは、時には首長と議会の意見が一致しない場合があります。しかし、今日まで、おおむね首長と議会は、対決するだけではなく、話し合いに打開策を見つけ、互いに歩み寄り、自治体の機能不全化を避けてきたのではないかと思います。こうした対応は、執行機関である首長と議事機関の議会が、均衡と抑制のとれた関係を構築して、協働して住民のため行政をすることが、憲法と地方自治法の趣旨にかなったことだと思います。
ところが、鹿児島県阿久根市では、市長が半年以上も市議会を招集せず、専決処分を繰り返すなどして市政を混乱させていました。自身の考えを理解しない議員が多いので、議会を開いても意味がないとの考えであったようですが、これほど議会議員と議会を冒涜する発言はありません。
このような一連の行動や発言に、鹿児島県議会は、6月22日、二元代表制を崩壊させる阿久根市長の行為に抗議する決議を全会一致で採択しました。内容は、議会の審議や議決を無視し、専決処分の制度を乱用し、首長が恣意的な自治体運営を行っている、早急な市議会の招集を強く求める等の趣旨でありました。
また、同日付で、鹿児島県知事も、阿久根市長に対し、阿久根市長における事務処理の適切な運営について、地方自治法第245条の4に基づく技術的な助言として出されました。そして、さらに7月2日には、地方自治法に基づく臨時議会の招集について(勧告)、7月23日には、地方自治法に基づく専決処分の取扱い等について(勧告)を出されました。
総務省によると、地方自治法に基づく勧告は九州で初めてとなり、今回の対応に原口前総務大臣は、違法状態がそのままにされることは決してあってはならない、市の動向を踏まえ、県と協議しつつ今後の対応を検討したいと、県の姿勢を支持する考えを示されました。
こうした動きがあってからか、やっと先月25日から26日の2日間の日程で臨時議会を招集され、開催されたのですが、市長が承認を求めた専決処分19件のうち、国法令改正に伴う5件を除く14件が不承認となりました。
これに対して、阿久根市長は、臨時議会終了後、不承認になったが、議決さえすればいい、全部有効だ、専決処分が議会の議決より優先されると持論を述べ、議会の議決に対して、全く取り繕うそぶりすらありませんでした。地方自治法の規定では、議会がない場合などに専決処分が認められていますが、解釈にもとらえ方が違い、今後物議を醸すことと思います。
また、もう1つ、首長と議会が激しく対立しているのが政令市の名古屋市でありますが、市民税一律10%減税の持続、議員定数、報酬の半減を掲げ、議会が拒否したため、市長が先頭に立って市議会解散のリコール運動を展開しています。
名古屋市の場合は、議会を開かないことはなかったのですが、減税といった大変重要な問題と議会や議員の身分にかかわることで、自身の政策が通らないからといって、市長みずから先頭に立ち、議会解散のリコール運動を推進するのはいかがかと思います。
そこで、政治学者でもある蒲島知事にお尋ねをします。
阿久根市では、議会の招集について問題になったのですが、地方自治法で定めた首長と議会の関係で、議会の招集権は現在執行部にありますが、真の二元代表制を実現するために、議長に議会の招集権を付与することとの考えがあります。知事の御所見を伺います。
また、専決処分の取り扱いについて、議会が開かれず、やむを得ず専決処分を実施することは理解しますが、阿久根市長のように、議会が開かれたにもかかわらず専決処分を乱発し、議会で不承認になってもまだ専決処分の優位性を主張する考え方について、知事の御所見をお伺いします。
また、名古屋市長のように、自身の考え方に議会が理解を示さないからといって、市長みずから議会解散のリコール運動の先頭を切る政治姿勢について、どのような感想を持っておられるか、お尋ねをします。
次の質問ですが、民意と選挙制度についてお尋ねします。
さきの参議院選挙で、選挙区の結果だけを見れば、民主党28議席、自民党39議席でした。比例代表の選挙結果を見れば、民主党16議席、自民党12議席という結果で、同日行われた選挙で、選挙制度の違いで結果は大きく異なりました。
選挙後の党首討論で、自民党の谷垣総裁が菅総理に対して、ほぼ1対1で戦った選挙区で民主党は大敗した、いわば国民はノーを突きつけた、これが今の民意であり、早期解散を迫られました。それに対して、菅総理は、確かに選挙区では自民党に負けましたが、比例代表では民主党が大勝利し、民意は我が党を支持したと切り返されました。
この論議を聞いたとき、選挙区制度のよさと比例代表制のよさが論じられているような感じを受けました。ところが、民主党の今回の参議院選挙の公約に、衆議院と参議院の定数削減案で、両院とも比例代表制のみの削減をうたっていました。これは菅総理が党首討論で主張していたことと反対のことを言っていることになります。
そこで、蒲島知事にお尋ねをします。
どの選挙制度で正しい民意を図ろうかとすることは大変難しいと思います。であるがゆえに、過去の選挙制度の議論では、選挙区と比例代表制という2つの選択をしてきた経緯があると思いますが、知事は、どのような選挙制度が民意を酌み取りやすいと考えておられるのか、御所見を伺います。
同じように、県議会議員の選挙制度についてお尋ねをします。
現在の県議会議員の選挙制度は郡市単位で行われていますが、全国議長会では、これを各自治体に任せるようにと要望があっています。県下全般の課題に取り組む県議会議員が、小さな単位で選ばれることがよいのか、現行でよいのか、それを含め各自治体に任せるべきとの考えもあるようですが、これについて知事の御所見をお伺いいたします。
〔知事蒲島郁夫君登壇〕