熊本県議会 本会議で城下広作の会議録
1.政府・与党の経済危機対策について-3

(1)介護職員の処遇改善等
(2)がん対策の推進
(3)難病対策の拡充、脳脊髄液減少症患者に対する支援

◆(城下広作君) 今のところ順調に進んでおります。
新規就農、しっかり頑張っていただきたいと思います。また、重点分野、1割程度ではちょっと厳しいというふうに思いますので、さらに努力をしていただきたいと思います。
切り返しもこのくらいの時間でしかできませんので、よろしくお願いします。
次に、介護職員の処遇改善などについての質問をいたします。
この事業は、平成21年度、介護報酬が3%改定され、介護職員の処遇改善が図られましたが、他の業種との賃金格差をさらに縮め、介護が確固たる雇用の場としてさらに成長していけるよう、介護職員の処遇改善に取り組む事業者への資金の交付を行うことにより、介護職員の処遇改善をさらに進めていくための事業ですが、対象となる介護職員には朗報であり、一日も早い実施が望まれると思います。
介護関係の職業は、制度スタート当初は大変期待され、資格を取る人、転職をされる方、そして学生では、介護や福祉関係の専門学校、大学へと進学する生徒が相次いでいました。
ただ、ここ数年は、介護職が労働の割には賃金が安いとか、体力がもたないなどの理由でやめる人が多くふえたり、学生も、将来の不安や賃金の関係と、進路変更する学生がふえたりで、一部では定員を割る学校も出ているようです。
このような現状を見ると、今後ますます長寿社会を迎えようとする我が国にとって、介護職員は必要な人材であり、確固たる人材確保の取り組みが必要になります。そうしたことからも、今回の事業は、常勤換算後の介護職員1人当たり月額1万 5,000円の賃金引き上げに相当する総額が準備されており、また、今回の交付金は、介護報酬としてではなく、直接に従業員の賃金の原資として交付されるものであることから、確実に介護職員の処遇改善、人材確保に大きく寄与するものと思います。
ただ、問題なのは、この制度は、あくまでも事業者の申請主義で、必要な手続がなされないと支給ができないことや手続がおくれれば支給開始がおくれることが予想されます。結果的に、介護職員にしわ寄せが来ることにつながります。
そこで質問ですが、まず、県としては、本事業の対象となる事業所の把握は大丈夫なのでしょうか。また、事業者への申請の説明、適正な審査、迅速なる支給等の準備は大丈夫なのでしょうか。また、順調にいけば10月1日からスタート予定ですが、県下の事業者は同時期にスタートできるのでしょうか。状況をお伺いいたします。また、事業者の申請は通年となっていますが、介護職員の異動などが発生し、申請内容に変更が生じた場合などのチェック体制は大丈夫なのでしょうか。
健康福祉部長にお尋ねをいたします。
次に、がん対策の推進についてお尋ねをいたします。
がんは、1981年から日本人の死因第1位であります。現在、1年間で34万人の方が亡くなっており、国内の死因の約3割を占めています。また、新たにがんになる人が1年間で50万人以上と言われ、日本は世界一のがん大国となっています。
一方で、がんに対する検診受診率は、例えば子宮頸がんや乳がんで見てみると、欧米では7~8割程度であるのに比べて、日本では2割程度となっています。
一方で、子宮頸がんは、予防ワクチンが開発され、既に世界100カ国以上で予防接種を受けられます。そして、子宮頸がんは、予防ワクチンでほぼ100%予防できるそうです。しかし、残念ながら日本ではまだ承認されていません。
このような現状にある中で、我が公明党熊本県本部は「生命を守るがん対策の強化充実を求める署名」と題して、例えば「がんを早期発見、早期治療するため、がん検診の公費負担をふやし、費用を安くして受診率をさらに向上させること。」また「若い世代からの子宮がん予防の啓発活動を行い、検診の受診率向上と早期の予防ワクチンの導入・普及を図ること。」などの6項目を並べて、4月上旬から5月初旬まで約1カ月間署名活動を行い、県下で最終人数59万3,548名の署名をいただき、蒲島知事に手渡し、要望することができました。
これは、180万県民の3人に1人が署名していただいたことになります。署名された方々に改めて感謝申し上げたいと思います。蒲島知事は、検診の大切さは認識している、全国一がんの発生率の低い県を目指したいと答えていただきました。
今回は、同じ内容で舛添厚生労働大臣にも陳情したことや署名の効果もあり、早速、新経済対策の中で、女性特有のがん検診推進事業として予算を盛り込んでいただき、スタートすることになりました。
事業の内容は、市町村ごとに、対象者に、検診手帳とともに、子宮頸がん、乳がん検診の無料クーポン券が配布される仕組みであります。ちなみに、対象年齢は、子宮頸がんで、20歳から5歳刻みで40歳になった人、乳がんでは、40歳から5歳刻みで60歳になった人です。40歳の方は両方受けられるということであります。
本県でも、今回の予算案の中に、女性のがんの予防を推進するための女性の健康支援対策事業が計上されています。ここでも署名が大きな役割を発揮したのかなと思います。
そこでお尋ねですが、今回の検診手帳や無料クーポン券、医療機関の指定等は、基本的に市町村の対応となっています。市町村は準備等で大変忙しいと思いますが、これがスムーズにいかないと、利用開始時期が市町村ごとにまちまちだったり、大幅なおくれになったりと格差が出てきます。そこで、県下の準備状況はどのようになっているのか、お尋ねをします。
また、今回の事業は単年度事業であります。県下の市町村の中には継続するところもあります。県としても、子宮がんによる死亡率がトップクラスということからも継続的に取り組むべきと思いますが、いかがでしょうか。
また、県が今回行う予防教育及び検診受診啓発は、具体的にどのような内容を考えておられるのか、お尋ねします。
蒲島知事は、全国一がん発生率の低い県を目指したいと述べられましたが、県は具体的にどのような取り組みを考えておられるのか、健康福祉部長にお尋ねをします。
次に、難病患者に対する支援についてお尋ねします。
今回、難病患者の医療費負担を軽減するため、現在、医療費助成の対象となっていない難病のうち、緊急性の高い疾患、11疾患でございますけれども、それについて医療費助成の対象とすることになりましたが、国の要項の改正がまだできておらず、現段階での対応はできないのですが、決まり次第、本県在住の患者の皆様には、素早い情報収集と徹底をお願いしたいと思います。
しかし、今回は難病指定の拡大に取り組んでいただいたのですが、難病と同じように苦しみながらも周りから理解されずに悩んでおられる脳脊髄液減少症という病気があります。交通事故やスポーツ事故などが原因で、脳と脊髄を衝撃から守っている髄液が体内で漏れることにより、頭痛や吐き気、目まいなどで突然動けなくなることもあるようです。残念ながら完治できるような治療法は今のところなく、ブラッドパッチという治療法が現時点では一番有効と言われており、一部の方は、既にすがる思いでこの治療を受けられているようです。
そこでお尋ねですが、現状では、自分が脳脊髄液減少症と気づいていなかったり、また、ブラッドパッチの療法を知らなかったりとさまざまであります。県としては、脳脊髄液減少症の情報やブラッドパッチの治療のできる医療機関を、ぜひホームページで広く県民に伝えていただきたい。
また、学生の患者も多く、体調不良で休むと先生の理解が得られず、誤解を受けているケースも多いと聞きます。教育現場での脳脊髄液減少症の認識の徹底を進めていただきたいと思いますが、今後の対応を健康福祉部長にお尋ねをいたします。
〔健康福祉部長森枝敏郎君登壇〕