熊本県議会 本会議で城下広作の会議録
3.熊本駅周辺整備について

(1)まちなみ形成に係る地区計画の導入
(2)東A地区に関する景観形成
(3)駅と熊本城を結ぶ観光戦略

◆(城下広作君) 県ではあんまり低入札がないと言われましたけれども、市町村ではかなりひどいような状況もあると聞いております。国も十八年度をめどに考えていくという流れでございますので、恐らく国はもう実施をするというふうに、そういうふうに理解をしております。県もできるだけ早く、やっぱり現場のそういう状況を察知しまして、やはり異常な価格で行われた場合には、これは確かに問題があるんじゃないかというような形をするのがこの低入札価格の調査制度でございますので、私はこれは考えていくべきだというふうに思っております。
次に、熊本駅周辺整備についてお尋ねをいたします。
いよいよ待ちに待った新幹線が、順調にいけば、あと六年後に全面開通する見通しです。期待と不安が交錯する中、県議会でも大所高所から今日まで、県や市、JRの取り組みや働きかけに至るまで、いろんな意見が活発に論議され、そのほとんどの意見の意味するところは、熊本の陸の玄関にふさわしい駅周辺整備の完成のためにと発言されたものであります。地元テレビや新聞でも、駅周辺の進捗状況や問題、今後の対応と、話題を欠くことはありませんでした。同じように、県民の関心も、今までとは異なり、より具体的な提案がなされるようになり、希望の施設や規模、場所の指定等、各人が思い描く青写真を持って語り始めています。
このように、多種多様な意見を踏まえ、より具体的な案に取りまとめるのが行政の役割であり、県はそのリーダーシップを発揮する重要な立場であるのですが、今までの取り組みを見ていると、決して満足する取り組みではありませんでした。
現に、駅周辺整備のあり方を協議する重要な機関である新幹線新駅周辺整備推進会議も、重要な協議を行う場合は非公開が多く、論議の内容も余り知ることができず、進捗状況が全くつかめない状況でしたが、師走ということで突然思いついたかは知りませんが、議会開会前日の先週七日に同会議が開催され、今回は公開ということで検討状況中間報告案がようやく発表されました。
その内容を見てみると、熊本駅周辺地域の将来ビジョンとして、例えば駅を中心とした地域は、人と情報の交流ゾーンに見られるように各ゾーンで区分され、また、各地区は市街化形成として土地利用が細かく区分されていますが、残念ながらこのような案も法的には拘束力がなく、民間業者が無視して建設を進めたとしたら中止することはできません。それは、熊本駅東側に位置する北地区、東A地区、東B地区、南A地区、二本木地区のすべては商業地域に指定されているからであります。
商業地域の場合、危険性や環境を悪化させるおそれのある工場や、火薬類、石油類、ガス等の危険物の貯蔵、処理の量がやや多い施設以外は、ほとんどの建物の用途制限がありません。例えば、駅正面に当たる東B地区に大きな葬祭場や寺院、ラブホテル等が建っても法的には何ら問題がありません。
また、道路の形態にしても、北地区や東B地区、二本木地区は、古い町並みであるため道が狭く、形状も複雑で、車の通行に支障を来すところが多いのですが、仮にそのような場所であったとしても、道路の最低幅員四メーターを確保すれば建物は許可され、利用しやすい道路の整備は望めなくなります。現に、ところどころで、市街化形成の案に沿った建物かは知りませんが、既に建設が進んでいます。
そこで、質問の第一点目ですが、今までに述べたような問題を防ぐためにも、今回発表された中間報告案の熊本駅周辺地域の将来ビジョンのゾーン別のくくりや市街化形成案に沿ったまちづくりを実現するために、できるだけ早い段階で法的に拘束力のある地区計画を実施すべきと思います。特に東B地区や南A地区は、駅周辺整備の中でも最も重要な場所に位置することから、早急に実施すべきと思いますが、いかがでしょうか。
また、防災上危険な密集市街地において取り組む防災街区整備地区計画、道路交通騒音の著しい幹線の沿道に配慮する沿道地区計画なども検討に値すると思いますが、どのように考えておられるか、お尋ねをします。
第二点目の質問ですが、新幹線が開業したとき、やはり一番重要なのは、だれもがわかりやすく乗りかえ、利便性の高い交通結節点の形成ではないでしょうか。そしてもう一つは、知事がよく言われている水と緑を初め森の都熊本を実感できる空間の確保だと思います。
一つ目の利便性の高い駅を目指す目的については、今回の案に反映されていると思いますが、もう一つの水と緑を体感できる空間を東口駅前広場に確保するとした案については、仮に植樹を施したとしても、バスやタクシー、一般車の乗りおりが集中しているので、厳しい内容ではないかと思います。それよりも水と緑を体感できる空間は、坪井川や白川に近い東A地区に設けた方が、水辺の空間も利用して、より効果を発揮すると思います。
従来のように駅前だからといって高いビルを建てて視界を遮るより、遠くに見える阿蘇の山々を眺めることのできる空間を確保した方がはるかにいいと思います。その方が、鹿児島中央駅、博多駅と違う熊本らしい駅前の姿で、観光客やビジネス客をもてなすことができるのではないかと思います。
しかし、熊本市は、十二月議会を前に、東A地区の考え方について、市街地再開発組合から、市が直接施行することを表明、仮称図書館情報センターを核とする再開発ビルの構想を発表されました。事業主体である市に対して余り県が口を挟むわけにはいかないと思いますが、東口駅前広場との関係、東A地区が県道と隣接すること、背面の白川や坪井川との水辺空間の関係性、県の陸の玄関の顔として関係が深いことから、ぜひ建築物等の位置も配慮し、水と緑を初め森の都熊本を実感できる空間を東A地区に確保し、東口駅前広場から東A地区、そして坪井川や白川の水辺空間と連動させることが熊本の陸の玄関のふさわしい駅前の景観と思いますが、いかがでしょうか。
第三点目の質問ですが、先ほどの坪井川の水辺空間を有効利用する観点から、駅と中心部を結ぶ観光戦略について質問をします。
熊本の観光といえば、すぐに連想するのが阿蘇、天草を思い浮かんでしまうのですが、新幹線の全線開通を見据えて大々的にアピールすべきところが、駅にも近く、周辺地区に関係施設も多い熊本城ではないかと思います。
言わずと知れた熊本城は、日本三名城の一つで、加藤清正が、慶長十二年、一六〇七年に七年かけて築城しました。あと三年足らずで築城四百年を迎えようとしています。その記念事業として今熊本市が市民の協力も仰ぎながら取り組んでいるのが熊本城復元構想であり、中心事業が本丸御殿大広間の建設であります。そのほか飯田丸五階やぐらや南大手門は既に完成し、観光客を魅了しています。
ますます勇敢な姿に磨きがかかる熊本城に注目が集まれば、新幹線の開業に伴い、その勢いははかり知れないほどの観光の誘致に寄与すると思いますし、熊本市の事業というよりは、観光立県熊本になくてはならない存在であり、阿蘇、天草、熊本城は、熊本の観光の三位一体の関係に位置づけられるものと思います。
その熊本城と熊本駅の観光の連動性を高めるために、さらに効果を発揮するための方法として、坪井川を利用した遊船計画があると思います。
そもそも坪井川は、築城に合わせて、城の防御と物資の運搬を目的として、既存の河川を人工的にルートを変更して活用した河川であり、明治初期まで利用されていました。今なお、昔の船着き場の面影を残すところが何カ所かあります。最近は河川も浄化され、コイも色とりどりに川面を埋め尽くし、市民がコイにえさをやる光景は珍しくなくなっています。
熊本市でも坪井川の遊船計画を全く考えていないわけではなかったのですが、計画立案する前の段階の事前調査で、熊本駅前の石塘堰から市役所前のうまや橋付近までの現況を調査し、河床掘削による水深の確保や堰の新設で運航可能と判断しているようですが、約五億円かかることや遊船から見た景観の問題点などの理由で、今のところ消極的なようです。
ただ、私の考えとしては、熊本市は川を上ることを前提としているので、新設の堰が必要となり、費用がかさむ結果につながり、現在の判断になっていると思います。市は川を上ることに固執せず、本来川は下るものと考え、出発地をうまや橋上流の高橋公園とし、終着地を熊本駅東A地区の裏側に設け、熊本城の観光を終え、熊本駅に帰ろうとする観光客の皆さんに坪井川を下って駅に導くとすれば、また違った観光スポットになり得ると思います。水深の調査をしたところ、河川を二、三十センチ掘削するだけで済むということです。
また、景観の悪さを指摘する意見に対しては、坪井川は、護岸の補強を兼ねて矢板の表に石積み模様のコンクリート擁壁で整備されています。その中段あたりは管理用通路としてスペースがありますので、そこから直壁に対し、熊本に縁の深い、例えば肥後六花、田原坂の合戦と熊本城、熊本に住む美術家や学生の絵などをパネルにして展示することで、川下りをしながら絵を楽しむリバーミュージアム構想として取り組めば、全国的に話題になるのではないかと思います。
いずれにしても、坪井川に関しては、県が管理をしている河川です。パネルの掲載など問題点もあると思いますが、熊本の新たな観光の目玉として、熊本城と熊本駅の新たな連動性の広がりで観光立県熊本に寄与すると考えるならば、熊本市と連携を図り、本格的な実施を前提とした調査をする意思がないのか、お尋ねをしたいと思います。
以上三点、地域振興部長にお尋ねをいたします。
〔地域振興部長鎌倉孝幸君登壇〕