熊本県議会 本会議で城下広作の会議録
・地元企業の支援策について

(1)岩田屋を含めた周辺地域の再開発事業への県の支援
(2)地元企業への優先的発注の在り方
(3)インキュベーション施設整備運営事業の取組み

◆(城下広作君) 公明党の城下広作でございます。私は、党を代表して質問をいたしますが、県政に横たわる大きな問題は、さきの六月議会で会派代表の竹口議員が質問されましたので、それ以外の、また県政、県民に非常に関心のある質問を取り上げて、きょうは行いたいと思っております。  知事を初め執行部の皆さん、ぜひ県民また生活者の目線でしっかりとそのことを考えていただき、希望ある答弁をよろしくお願い申し上げます。  では、早速でございますけれども、質問に入らせていただきたいと思います。  まず最初に、地元企業支援についてでございます。  政府の発表によれば、景気は底打ちの傾向にあり、一部の産業においては数字の上でも改善の兆しが見受けられるとのこと、思わずどこの国のことかと首をかしげたくなります。企業にとっては、来年四月実施予定のペイオフ問題、赤字法人にも課税する外形標準課税の導入計画、健康保険法改正による事業者負担増等々、矢継ぎ早に襲いかかってくる逆風に耐えながら、生き残りをかけ必死の思いで、業界や団体、そして関係する国会議員も加わり、ペイオフ実施の延期や外形標準課税の導入の是非で激しい論議が行われているようです。  また、地方に至っては、景気の底打ちどころか、日ごとに悪化の一途をたどる傾向にあり、我が熊本県経済は、その先陣を切るかのような様相を見せています。  御承知のとおり、昨年十二月に民事再生手続を開始した地元大手スーパー壽屋、その後数十店舗は、関係者の努力のかいあって経営者がかわり現在営業されていますが、県内に三十五店舗営業されていたことを考えれば、地元経済に与える影響はまだまだはかり知れないものがあります。  また、地場企業として三十九店舗を県内に有し、地元住民に根差した経営を行っているスーパーニコニコ堂も、四月に民事再生法を申請し、七店舗は既に閉鎖をしています。この二社の存在は、熊本経済はもちろんのこと、県民の生活必需品の調達に欠かすことのできない存在となっているわけですが、先月八月末にはニコニコ堂の再生計画も大筋で決まり、あとは地元企業として安定した経営が行われるよう強く望むものであります。  そして、さらに深刻なのは、中心市街地の繁栄に大きな影響を及ぼす熊本岩田屋の撤退問題であります。  壽屋やニコニコ堂の場合とはまた違った問題を抱え、特に中心市街地の買い物客の回遊が著しく変化をもたらした場合、周辺商店街に与える影響は大きく、中心市街地での買い物離れ傾向にさらに拍車がかかるのではないかと心配されています。  熊本岩田屋は、来年二月十一日をもって営業を停止することは既に決定され、その後の後継店選びや地元企業などの出資による運営会社等の設立の案が検討されていましたが、現実問題として後継店の参入は厳しいものではないかと言われているようです。  一方で、熊本岩田屋の存続問題だけではなく、熊本交通センターを含めた一帯の再開発の論議が活発化し、八月六日には、熊本桜町地区まちづくり協議会が発足し、幅広い中心市街地活性化計画の取り組みが開始したようです。具体的には、今国会で成立した都市再生特別措置法の指定の取りつけを目指しているようですが、この中には、駅やバスターミナルなど交通結節点の整備に重点を置いた全国都市再生のための緊急措置を実施し、地方から提案を募っており、県、市双方からも提案されたと聞いています。  私も、仮に後継店が決まったとしても、持続的な発展を遂げるためには一帯の再開発事業が有効な手だてになるのではないかと思いますし、それに昨年七月一日には、同地域を含めた熊本TMO構想が熊本市から正式に認定を受けており、この構想の指定地域には、同地域のほかにも古町、新町地区、熊本駅周辺地区が指定してあることから、新幹線開通に伴う駅前開発や周辺地域と連動したまちづくりは、陸の玄関口と中心市街地における人の回遊アクセスの機能を高めるチャンスだと思います。  そして、かねてより期待が高かった熊本合同庁舎の駅前周辺への移転を前提とした敷地調査が盛り込まれたことは、駅周辺と交通センターを結ぶ道路の整備や同区間の魅力的なまちづくりに一層の取り組みが必要不可欠になってくると思います。  そこで、質問の第一点目ですが、公的融資や建築基準緩和といった開発事業に有効な手だてとなる都市再生特別措置法の動きを含め、岩田屋を含めた周辺地域の再開発事業に対して、県として今後どのような支援を考えているのか、お尋ねします。  次に、地元企業支援の角度から、県発注事業のあり方についてお尋ねをします。  六月議会の中で、建設常任委員会に付託された議案の中で、二つの議案に対する審議の過程で、地元企業に対する配慮を欠く安易な委託契約が行われようとしているということで猛反発があり紛糾し、結果的には地元へ一部分離発注するという確約を取りつけるということで議案が可決した経緯がありました。  私も注意深く推移を見守っていました。長引く不況で、国は大幅な公共事業の抑制を余儀なくされ、県も財政健全化計画の集中期間という真っただ中、事業の縮小はいたし方がないことと理解をしています。しかし、現実的には、公共事業に依存している企業は県下各地に数多く存在し、地元雇用にも大きく寄与しているところであります。ただ、国を中心とした一連の不祥事事件の陰に、政治と金、そして公共事業というマイナーなイメージが国民の中に定着し、細々と地元を中心に公共事業の仕事を行っている零細企業にとっては、いわれのないことで肩身の狭い思いをしているようです。  このようなさまざまな条件も加わり、売り上げも急激に減少して、やむを得ず倒産や廃業に追い込まれる会社も、ここ数年は極端な増加が数字としてあらわれているようです。  公共事業のあり方も、国を中心として連日のように見直しの論議や内容の検討がされていますが、最初からすべてが悪という色眼鏡で見るのは少々疑問が残るようです。  地域住民の利便性やユニバーサルデザインに沿ったインフラ整備、環境悪化に歯どめをかける下水道事業等々、必要なものが数多く存在するのは事実であります。整備が進んだ都市部と、まだまだ未整地の地域が多く存在する地方部を公共事業という一つの言葉でくくり、性悪説で論議すること自体に問題があるのではないかと思います。  しかし現実は、前段で述べたように、厳しい財政状況の中で予算の縮小は避けられず、今後どのようにして公共事業に携わる県内業者を支援していけるのかと考えたとき、一つの考え方として、今までは、事業の規模が大型であったり技術的に困難な事業は、一部において地元業者で可能であったとしても、全体の管理や事務的経費削減の面で大手企業の指名が妥当であると判断する傾向が強かったと思います。  今後は、そうした面を含めて検討の余地があるのではないかと思うのですが、そこで、第二点目の質問ですが、地元企業の育成や受注の機会をふやす観点から、大型事業の場合、分離発注や県外大手企業と地元企業の共同企業体の発注体系をさらに推進するといったように、できるだけ多くの機会を地元企業に与えることは、今日の県内業者の現状から見れば必要な措置と思います。また、公共事業以外の分野においても、地元企業への配慮をさらに重視していくべきと思いますが、県として今後の取り組みをお尋ねします。  次の質問に移ります。  本年度から三年間で、新たな起業化支援事業の一環として注目されている帯山の旧運転免許センターを活用した熊本県インキュベーション施設整備運営事業の入居者の選考があり、当初の予想を大きく上回る応募者の中から、書類審査や面接を経て、先日入居者が決定したようです。入居要件として、設立五年以内の中小企業やこれから創業を予定している人を主な対象として進められ、二十一の入居枠に対して七十四件の申し込み、競争率にして三・五倍に上ったということは、それだけ高い関心を呼んだということで、創業予定者や創業間もない方々などが県内に数多く存在する証明ではないかと思います。  特にIT関連の申し込みが多かったと聞き、恐らく将来の夢と希望を求めたベンチャービジネスに対する強い期待感のあらわれとも受け取られ、入居が決定された方々には、ぜひ成功の基礎をつくっていただきたいと思います。  そこで第三点目の質問ですが、そもそもインキュベーションとはふ化という意味で、つまり育てるということだと思います。これだけ多くの希望者があり、今日の冷え切った県内企業の状況を見れば、次の時代を切り開く可能性のある希望者を、このまま切り捨てることは余り感心するようなことではないと思います。  それに、旧免許センターは二階建てであり、今回の計画は一階部分で行われています。当然予算の伴うことでありますが、ふ化した企業が羽ばたいて成長し、地元で活躍すれば、それ以上の経済効果として県に還元してくるわけで、県もそれを見逃してはならないと思います。二十一の枠に入り切れずに外れた応募者の中に、その可能性を秘めた入居希望者がまだ数多く見られたとしたならば、ぜひ枠の拡大を検討し、インキュベーション事業の見直しをしてもいいのではないかと思いますが、どのように考えておられるか、お尋ねします。  以上三点、地元企業の支援の立場から潮谷知事にお尋ねをいたします。   〔知事潮谷義子さん登壇〕