熊本県議会 本会議で城下広作の会議録
・介護保険料の全額徴収開始を受けて

(1)保険料の徴収状況と未納者に対しての指導等
(2)市町村における介護保険財政の運営状況
(3)介護サービス利用者の声に対しての対応
(4)市町村の減免措置への対応と高齢者世帯の生活支援対策

◆(城下広作君) TLOはなかなか聞かないような言葉で、PLOはよく聞くんですけれども、しっかりTLOという形で定着して、地元でも本当に成果を発揮していただきたいというふうに期待をしたいと思います。  次に、介護保険のことについて質問をさせていただきます。  介護保険制度のスタートから一年九カ月がたち、先々月の十月からは、同制度の当初計画どおり、六十五歳以上の介護保険料の全額徴収が始まり、改めて自己負担額を再認識され、戸惑う方も少なくなかったようです。  平成十二年国勢調査によれば、我が県の老年人口、六十五歳以上は三十九万六千二十人、県全体に占める割合として二一・三%に達し、国勢調査実施以来、初めて二〇%を超える結果となりました。そして、増加の傾向が今後も続くことは間違いなく、五人に一人以上と言われる高齢者を社会全体がどのように支えていくのか、介護保険料が今後どれくらい増加していくのかなどの不安は、個人の生活に直結する問題として県民だれもが関心を持っています。また最近は、医療制度改革もささやかれる中で、特に老人医療費の膨脹を防ぐためと言われるなど、耳の痛む話が多くなったと感じておられる高齢者も多いと思います。  国も、高齢社会に対応する手だてとして、この介護保険制度の円滑な実施が最重要テーマであることは言うまでもなく、そのためにも、地方自治体の協力が不可欠と思っているのに違いがないと思います。しかし現実は、実務の面において国は地方に任せっきりで、制度にまつわる苦情や保険料の徴収にかかわる諸問題は地方が処理をしなければならないのが現状であり、簡単に解決しない問題も少なくないようです。  そのことを裏づけるかのように、十月の介護保険料全額徴収を受けた後の日本世論調査会の介護保険に関する全国世論調査で、介護保険導入がよくなかったという問いで、その理由を二つ挙げてもらった結果、一番多い意見として、要介護認定が必ずしも公平でない、四六・四%、二番目に、経済的負担が大きくなった、四四・二%、三番目に、サービスが十分整っていない、三四・三%と、大変厳しい評価がされ、実施する側の自治体にとっては非常に頭の痛い問題で、このことは、制度が実施される以前から心配されていたこととはいえ、やはり介護を受ける当事者や家族にとっては大変重要な問題であることを改めて認識されたのではないかと思います。  その中で、特に注目すべき点は、七十歳以上で六割の方が経済的負担が大きくなったと答えたことは、今後介護支援を受ける年齢層の意見だけに大変重要な意味を持ち、その意向を受けた形で、厚生労働省の調査では、各自治体の中に、低所得者を対象に、保険料の減免措置を、保険料徴収開始の昨年十月から本年十月までの一年間で、既に三百十市町村実施され、うち百八十八市町村が一般財源に頼らず保険財政で賄い、残りの百二十二市町村は保険料を免除したり税金で穴埋めするなど、国の原則に反する措置を実施したところもあり、保険料にまつわる問題は、市町村にとって最も重要な問題と位置づけられているようです。  それ以外でも、地域間格差の象徴である要介護認定の度合いが高い高齢者が利用する老人福祉施設や老人保健施設等が身近な地域になかったり、施設入所が必要な方でも定員オーバーで待機を余儀なくされる高齢者が多数見受けられるなど、その他いろいろな問題を挙げれば切りがないわけですが、そこで、第一点目の質問として、全額徴収が始まって二カ月を過ぎた程度ですが、それ以前の状況も含め県下の介護保険料の徴収状況はどうなのか、また、保険料の未納者に対してどのような指導と対応を行ってきたのか、お尋ねをします。  第二点目の質問ですが、介護保険の運用については、六十五歳以上の全額徴収が始まる前の段階で、半年間無料であったり、一年間は半額徴収の特別措置をとられたりと、介護保険円滑導入基金を充当し事業を行ってきたわけですが、中には、保険料設定の問題や施設介護利用者の思わぬ増員等による計算違いで、早くも県の財政安定化基金を借り入れて実行している市町村もあると聞いているが、実態はどうなのか。また、今の段階で借り入れが行われているとすれば、平成十五年に見直される第二期介護保険事業運営期間で、介護保険料の負担増を行わなければ円滑な運用ができないと心配するわけですが、同じような心配のある市町村はどれくらいあるのか、お尋ねをします。  第三点目の質問ですが、前段で述べた全国の世論調査の結果の中で、介護認定の公平さ、サービスが不十分等の意見がほぼ半数を占める割合でありましたが、この問題は介護保険制度の根幹であり、今後の運営に支障を来すことも考えられることから、当然県内でもこのような不満の声が多く聞かれたと思いますが、各市町村の対応はどうであったのか、また、指導的立場の県として不満解消につながる支援はできたのか、お尋ねをします。  第四点目の質問ですが、やはり介護保険制度の中でも次に大きな問題は、保険料の負担とサービスを受ける際の一割の自己負担分であります。中には、自己負担分が払えないという理由で、サービスを拒否される方もおられるようで、低所得者にとっては、本人も家族にとっても非常につらいことです。  そこでお尋ねしますが、全国的にも、低所得者に対して減免措置を実施する市町村がふえていると聞いているが、本県の現状と、県として減免措置実施をどのように考えておられるか。また、所得が少ないため住民税が非課税になっている高齢者世帯を生活支援するためとして、厚生労働省は、本人が所有する土地や住宅などの不動産評価額を限度に、生活費や介護保険料などに無利子で貸し付ける制度を来年度から導入する方針を決めたそうですが、取扱窓口も社会福祉協議会ということで、県としてこの制度に今後どのように取り組まれていくのか、お尋ねをします。  以上四点、健康福祉部長にお尋ねをします。   〔健康福祉部長田中明君登壇〕