熊本県議会 本会議で城下広作の会議録
・遊休農地の有効活用について

(1)耕作放棄地の現状と対策
(2)新規参入者への支援
(3)市民農園の支援体制と窓口

◆(城下広作君) ごみの問題は大変深刻な問題であると思います。やはり捨てる側のモラル、また、今は業者だけではなく、一般の人も簡単に車の中からごみを捨てていくというような本当に悲しいことがたくさんございます。最近話題になりました紙おむつも車から今は捨てるという、そういう時代に入ってきたという、本当に一人一人のやっぱりモラルの低下、このことをやはり真剣に考えていかなければならないんじゃないかというふうに思います。  また、廃棄物の一一〇番でございますけれども、やはりいろんな形で、いろんなところに遊びに行きますと、まさにリアルタイムで、明らかにあそこはまさに関係ないところにごみを捨てようとしているということをたまたま見たときに、自分が通報するという、自分がその方に直接注意をするというのは、なかなかこれはできにくいものだと思います。そういう意味で、やはりその辺はしっかり一一〇番で電話して、そして関係する方にやはり対応していただくと、そういうことを逆に私はやっぱり必要ではないかと思いまして、さらなる強化をしていただきたいと思います。  それと、車の不法投棄でございますけれども、例に挙げました江津湖は、私は五台ぐらいかと思っていましたところ、実際には現在では十七台ぐらい置いてあるそうです。もうすぐすると、不法投棄車でとめられないんじゃないかという──下手に古い車で行きますと不法投棄車じゃないかと逆に疑われるという、こんなことまで逆に勘違いされるのではないかと心配をしております。  そういう意味では、やはり法が、いわゆる定まっていないで簡単にできるということであれば、これをさらにやはり県から国へという形で、法制化という形の分で、いわゆる廃棄をするときに、この車は廃棄処分をしましたという証明書を添付するとか、間違いなく廃棄をしますという誓約書をもってしか廃車ができないというような形の法整備が必要ではないかというふうに考えております。  また、2・4・5の除草剤でございますけれども、これも、我が先輩議員、十年ほど前に現地調査をされたそうです。その当時と、今は行っていないわけですけれども、余り変わらないと。先ほどの答弁でも、見回り体制というのは、あくまでも現場に行って、地形の変動はないか、そして草木の生育の状況はどうなのかという調査をしていると言いますけれども、仮にそのコンクリートの劣化によって除草剤が割れて流出したとすれば、その地域ははげ山になるわけです。それがなってから、ああ、これは壊れているなというふうに気がついても、これは遅いわけでございまして、特に宇土の埋設された場所というのは、轟水源の上流部に当たるそうです。これは有名な名水百選にも選ばれている轟水源の場所でございますので、やはり関係する方は大変心配されていることじゃないかなと思うし、我が地域にあれば取り組みも、これはそのところはいろいろ言っていくんでしょうけれども、なかなか関係ないところであると余り関心がない、私はこれも大事な問題であると思いますので、本当にやっていただきたいというふうに思います。  最後の質問でございますけれども、次に、遊休農地の有効活用についてお尋ねいたします。  九州農政局が、昨年八月に百四十市町村を対象に行った耕作放棄地調査によりますと、六三%の市町村で放棄地が増加し、減少していると答えた自治体はありませんでした。特に、生産条件の整った平地部では五〇%近くふえており、原因として挙げられたのが、全体の六六%に当たる九十三市町村で、高齢化などによる担い手不足と答えております。改めて農業従事者の高齢化が浮き彫りになりました。  そして、先ほどの放棄地の中で、農業振興地域の六三%近くは現在のところ活用の見込みがなく、その中でも、特に優良農地として指定されている農用地区でも六七%が見込みゼロという状況です。他県に比べて我が県は、現時点でのパーセントは低いものと思いますが、しかし、全国十二番目に高齢化率が高いという県の実情から、今後担い手不足による耕作放棄地がふえてくるのは間違いないと心配されています。  後継者のいない農家の皆さんにとっては、毎日毎日が不安と焦りを味わいながら日々の生活を送り、大変深刻な問題になっています。本県にとっても、基幹産業である農業の担い手不足は、農業の衰退につながりかねない大変重要な問題であります。  一方では、国の食糧自給率、カロリーベースは四〇%まで落ち込み、今や我が国は、米を除き大半の食糧が輸入なくして国民生活は存在しないまでに陥ってしまったことや、輸入品の安全性を疑問視する消費者がふえ、安全で安心できる国内産の商品を求める声は日々増大しています。  また、農地は、国土の保全、水源の涵養、自然環境の保全、良好な景観の形成、文化の伝承など多面的機能も果たしてきました。  こうしたことを踏まえ、国は、昭和三十六年に制定した農業基本法を改め、二十一世紀を展望した新たな政策体系を確立し、国民は安全と安心を、農業者は自信と誇りを得ることができ、生産者と消費者、都市と農村の共生を可能とする食料・農業・農村基本法を昨年制定しました。そして、新基本法に沿って、本年四月より、傾斜地の多い地域に対しては中山間地域等直接支払い交付金制度が実施されることにより、当面の農地保全対策として期待ができることになりました。今後は、これを機に、特に平地部の放棄地増大を防ぐ手だてをとらなければならないと思います。  確かに、我が国の国土は傾斜地が多く、諸外国のような生産性の高い広大な農地を所有することは大変難しく、そのために、効率の悪い農地を改善し、生産性や合理性を高めるために基盤整備事業が行われてきました。これは、日本の農業を守るために必要であり、かつ我が国の食糧自給率を上げるために関係の深い大事な事業だと思います。  しかし、現実問題として、各地の基盤整備事業を行っている所有者の中には、もう既に六十歳、七十歳を超えた方々が多く見られ、その後四、五年耕作したら体力の衰えや採算性の面などの理由で離農することになり、後継者もいないことが手伝って放棄地となるケースが多々あるようです。  このような問題を解決するために行われてきたのが、農地の借用などで大規模化を進め、生産性を高めたり、共同体を組んでの経営や法人化など、その場所、その地域で工夫されてきたことは大変すばらしいことだと思います。また最近は、企業のリストラや脱サラなどで農業を志す人がふえていることから、用地の提供、就農に関するアドバイスをしてくれる機関の利用者がふえているようです。  そこでお尋ねいたします。  我が県では、先ほど来申し上げている平地部にあって、耕作放棄地は現在のところどれだけあるのでしょうか。また、具体的な対策、例えば放棄地のリストアップや借用希望者に対する情報提供は十分なのでしょうか、お尋ねしたいと思います。  二点目に、遊休農地の有効な活用を図るための一つの方法として、新規参入者に対しても事細やかな相談に対処できる窓口やスタッフ、支援制度は十分なのでしょうか、お答え願いたいと思います。  次に、農業生産の発展に直接結びつくことではないですが、農村の振興と放棄地対策に少しでも役に立つと思われる市民農園についてですが、最近、熊本市やその周辺市町村を中心に、農地所有者と利用者が入園契約を結んでのいわゆる市民農園が盛んになっています。定年退職後、自宅の敷地が狭いため、家庭菜園を楽しむために利用する人や日曜祭日を家族で過ごそうと考えている四十代の家庭などが多いようです。  入園の際には細やかな誓約があることでトラブルも少なく、収穫時になると、もともと知らない同士の間柄にもかかわらず、とれた作物の交換やつくり方のアドバイスなどのコミュニケーションも盛んに行われています。  家族で農園に来る人の中に、子供たちが、遊びばかり夢中になっている以前と違い、自分で種をまき、世話をし、収穫を迎えるときは、今までにない生き生きとした子供を見ることができたと大変喜んでおられました。  この市民農園が盛んに行われているドイツでは、一区画の広さが最低約百坪、最高は二百坪を超え、奥まった一角に電気、水道が完備した小屋、門扉から小屋まで石畳が敷かれ、アプローチには草花が咲き乱れ、その左右には野菜やハーブが栽培され、小屋の前には子供の遊具やベンチもある、こうした区画が数百区画あるらしいです。残念ながら私はドイツに行ったことがありませんから見たわけではありませんけれども、ある著書で読み、感激いたしました。何か日本では高級別荘地帯の風景のように思われがちですが、ドイツでは都市近郊の風景だそうです。  どうして始まったかといえば、十九世紀初めにシュレーバーという医者が、都会の狭いアパートの住民たちが、週末に土を耕し、野菜や草花の種をまいて自然に親しめるようにと始めた市民農園制度で、クラインガルテン、シュレーバーガルテンと呼ばれているようです。  入園の誓約も細やかで、樹木は植えない、宿泊は禁止などと細かく規定され、トラブル防止も気を配ってあります。しかも、賃借料は広い区画でも年間三万円程度で、契約期間は特になし、祖父の時代から五十年以上続けている人もいるそうです。天気のよい週末は、朝早くから家族連れの人たちが自転車などで続々とあらわれ、生き生きとしたにぎわいの村になるそうです。上半身裸で大地を耕す人、雑草や木の葉で堆肥をつくる人、野菜や草花の手入れをする人、小屋を修理する人、収穫物のバーベキューを楽しむ人、またビールジョッキを片手にゲームを楽しむ人など、世代や家族構成に応じて思い思いの週末が展開され、単に野菜をつくったりストレスを解消する場としてでなく、太陽光のもとで大地を相手に豊かな植栽を育ていつくしみながら、家族や地域の人たちと触れ合い語らい合って、人間らしいひとときを実現する場として、都市生活の暮らしの中に組み込まれているようです。  まことにうらやましい限りでありますが、ドイツのようにはいきませんが、耕作放棄地の有効利用の観点や新農基法の中に都市と農村の交流等が挙げられていることからも、有効な手段ではないかと思います。  幸いに熊本市では、規模は小さいですが、既に月出地区、島崎地区、清水地区など九農園、五百七十一区画が開設され、ことしも二百五十一区画の募集をし、既にその予定をオーバーしている状態です。玉名市にあっても現在の面積の倍近くが新たに予定されたり、大津町、菊陽町、西合志町など、盛んに取り入れているようです。  そこでお尋ねしますが、このような市民農園がふえてきているようですが、場合によっては市町村を越えて利用したいと思っている方もおられるようですので、市民農園をさらに多くの方が利用しやすくするためにも、県として、市民農園を開設する主体である市町村や農地の所有者などの情報交換や連携を図ることとあわせて、市民農園を利用する方への情報を提供する窓口を設けたらと思いますが、いかがでしょうか。  いずれにしても、何らかの手だてをしなければ、高齢化はどんどん進み、農家の担い手は間違いなく減少の一途をたどり、日本の食糧自給率はさらに減少するに違いないと思います。  二十一世紀を目前に、今までの基盤整備を中心としたハード面から、今ある土地の有効利用法や生産技術の向上、情報の交流と共有など、ソフト面を強化するときが来たのではないかと思います。  以上、放棄地などの有効利用法と市民農園に関する三点を農政部長にお尋ねいたします。   〔農政部長中原盛敏君登壇〕